『SSSS.DYNAZENON』は男子のハート鷲づかみ ケレン味たっぷりなその魅力

 本作の魅力は、テレビアニメ『キルラキル』(2013年)、『リトルウィッチアカデミア』(2017年)や、劇場用アニメ『プロメア』(2019年)など、個性的で尖った作品を送り出してきたアニメスタジオTRIGGERのケレン味たっぷりな作画と演出、そして登場人物たちが抱える複雑な人間関係を視聴者が追って行く作劇にあると言えるだろう。

 夢芽は5年前に突然他界した姉の死の真相を辿っており、ガウマは怪獣優生思想から離反した裏切り者と呼ばれていて、探し続けている女性がいるなど過去の一部しか明かされていない。怪獣優生思想のメンバーであるシズムは留学生として蓬の高校に転入してきて、蓬と気さくに会話を交わし、同じく怪獣優生思想のムジナは、非戦闘時に暦と出会う。暦は美しく成長した中学時代の同級生・稲本との再会を契機に、彼女のことが気になる……といった感じで、人間ドラマの方も目が離せないストーリーが進行中である。

 合体ロボのダイナゼノンと怪獣のバトルも毎回の見どころだが、ハッタリの効いた作画で魅せるダイナゼノンの合体・変形シーンは、まさに男の子のハート鷲づかみの格好良さ。アニメ本編同様に4つのメカが合体する玩具「THE合体 合体竜人DXダイナゼノン」は、税込2万2000円という高額商品にも関わらず通販サイトで短期で完売し、すぐに再販がかかったほどの人気ぶり。第8話でグリッドナイトが使用したドラゴニックキャノンという武器は、実写の『グリッドマン』ではわずか1回しか使われなかったものだが、こういうギミックへのこだわりもスタッフの熱意と愛情を感じる。本編では蓬とちせのキャラクターの今後の展開を匂わせる謎が動き出し、後半戦も目が離せそうにない。“GRIDMAN UNIVERSE”が果たしてどんな広がりを見せるのか、最後まで注視したいものだ。

■のざわよしのり
ライター/映像パッケージの解説書(ブックレット)執筆やインタビュー記事、洋画ソフトの日本語吹替復刻などに協力。映画全般とアニメを守備範囲に細く低く活動中。

■放送情報
『SSSS.DYNAZENON』
MBS、BS11、TOKYO MXにて、毎週金曜深夜に放送中
原作:グリッドマン
監督:雨宮哲 
脚本:長谷川圭一 
キャラクターデザイン:坂本 勝
サブキャラクターデザイン:中村真由美
ダイナゼノンデザイン:野中剛
色彩設計:武田仁基 
美術監督: 権瓶岳斗
音楽:鷺巣詩郎 
声の出演:濱野大輝、榎木淳弥、若山詩音、梅原裕一郎、安済知佳ほか
アニメーション制作:TRIGGER 
(c) 円谷プロ (c) 2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会 
公式サイト:https://dynazenon.net/
公式Twitter:@SSSS_PROJECT

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