『SSSS.DYNAZENON』は男子のハート鷲づかみ ケレン味たっぷりなその魅力
円谷プロの実写特撮ヒーロー『電光超人グリッドマン』(以下『グリッドマン』/1993年)を原作として制作されたテレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』(2018年)は、美少女キャラや、ヒーローを支援するアシストウェポンに変身する4人の仲間など、原作に当たる実写作品のアニメ化という枠にとどまらない新要素をいくつも投入してアニメファンの支持を集めた。
25年前に放送された『グリッドマン』を知っている人に向けてというよりも、アニメを通じて原作の『グリッドマン』に興味を持ってもらおうという制作者側の意図が功を奏し、『SSSS.GRIDMAN』のヒットによって『グリッドマン』のムックやフィギュアが発売されるに至ったほどだ。
その『SSSS.GRIDMAN』の待望の続編として現在放送中なのが『SSSS.DYNAZENON』(2021年)だ。監督、キャラクターデザイナー、怪獣デザイナー、音楽担当、制作スタジオなどはそのまま続投となっており、加えて両作品のオープニングテーマをオーイシマサヨシ、エンディングテーマを内田真礼が担当することでカラーを統一している。
とはいえ、『SSSS.DYNAZENON』は最初から明確に続編と発表されていたわけではなく、アニメスタジオTRIGGERと円谷プロが再びタッグを組み、『SSSS.GRIDMAN』のスタッフが再集結する新作アニメといった情報しか提示されていなかった。もっとも熱心なファンは、世界観の端々に見られる『SSSS.GRIDMAN』との共通要素に目を付け、同じ世界観なのではないか? と考察していたのだが、『SSSS.DYNAZENON』第6話のラストシーンに、前作のキャラクターであるグリッドナイトが、続く第7話にグリッドナイトに変身するキャラクターのアンチが(前作より成長した姿で)登場したことで、相互間のつながりがやや見えてきた。
『SSSS.DYNAZENON』は、“GRIDMAN UNIVERSE”と呼ばれるプロジェクトの一環として制作されたアニメである。そのプロジェクトとは、『SSSS.DYNAZENON』と『SSSS.GRIDMAN』の世界観や物語を、映像、商品などの幅広い形で展開するというもの。本作『SSSS.DYNAZENON』では、『グリッドマン』に登場した赤い恐竜型のサポートロボット、ダイナドラゴンを物語のメインに据え、街で暴れる怪獣を倒すために年齢も属性もバラバラな5人が合体式の恐竜ロボット、ダイナゼノンを操縦する。怪獣使いを名乗る謎の青年ガウマと、高校1年生男子の蓬、蓬の同級生で気だるげな女子の夢芽、33歳無職男性の暦と、その従妹で不登校女子中学生のちせ。偶然集まった5人のメンバーがガウマ隊として、怪獣優生思想なる一味が操る怪獣の脅威に立ち向かうのだ。