『リコカツ』紘一と咲は本当に別れてしまうのか!? 永山瑛太と北川景子にみる結婚の難しさ

『リコカツ』で知る結婚制度の難しさ

 当たり前の話だが「離婚」と一口に言ったって、三者三様である。またインタビュー内で本作の植田博樹プロデューサーが、「離婚を決意してから、何が気に入らないかということを咲と紘一が互いに挙げるシーンがあるんですけれど、考えてみたらこれだけだったのか……っていう。もしかしたら、離婚をすることで本当の夫婦の愛が戻るのかもしれない……そういうストーリーが生まれてきそうな気がしてきています」と話している(参照:植田博樹Pと脚本家・泉澤陽子氏が「リコカツ」に込めたメッセージ『人は変わっていく時に輝いていく』|WEBザテレビジョン)。該当のシーンは“気に入らないところ”がむしろ今や表裏一体“自分しか知らない相手の意外な一面”で“愛おしさや愛着を感じるポイント”にもなっていることに互いが気づいた瞬間でもあっただろう。どんなに恋愛小説家・水無月連(白洲迅)に「なんでこんな古いマンション買ったの? 新築にすれば良かったのに」とけなされても、すぐに紘一が「咲さんがリノベーションしてくれてさらに素敵になった。自分たちはここが気に入ってるんです」と明言したように。実は初めてこの家に入ったとき、紘一も本当は感動していて今は「ここがなくなってしまうのはとても寂しい」と感じているように。料理がそんなに得意ではない咲の毎回焼き加減が違う焼き魚が、紘一にとっていつの間にか“うちの味”になっていたように。

 「自分は想いを言語化するのに時間がかかる」ということに紘一が気づけたのも、初めてここまで真正面から深く向き合える相手に出会えたからで、その必要性を痛感したからだろう。きっと“もっと想いを正確に伝えたい”“言葉にして咲に伝えたい”という想いが自ずと湧いてきたからだろう。

 咲も咲で、口下手で不器用だけれど誰よりも咲のことを最優先に考えてくれている紘一の真っ直ぐさな想いに突き動かされ、離婚届を出しに向かう彼を追いかける。自分もローンを払い続けるから咲にこの家に住み続けてほしいと提案し、さらに咲の元彼である青山(高橋光臣)に彼女の支えになってほしいとこっそりお願いもしていた、一見するとわかりづらいが実際にはとても近くにあまりに当たり前のようにあった紘一のめいっぱいの“見返りを求めない愛情”をもう一度手繰り寄せるように。

 野暮かもしれないが、実は紘一は離婚届をまだ出していないなんてことはないだろうか。お互いがお互いにとって“かけがえのない存在”であることを否応なしに突きつけられたはずの2人のお別れはあまりに切ない。彼の「まだ君の夫だ」が聞けないのはどうしたって物足りなく、なんだか拍子抜けした気持ちになってしまうのだ。

 別れを選んだ2人が、次週どこでどう交わるのか、離してしまった手をどう繋ぎ直すのか、「離婚から始まるラブストーリー」本格始動の『リコカツ』第2章も目が離せそうにない。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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