『リコカツ』緒原紘一は“良い夫”? 永山瑛太が体現する愛情の深さ
個人的な意見になるが、咲と紘一が夫婦として「やっていけない」と思う場面では、どちらか一方が悪いというより、相手を尊重する気持ちが二人とも足りないだけなのではないかと考えていた。しかし物語が進むごとに、それぞれの家族の「リコカツ」もきっかけとなり、二人はお互いの気持ちを正直に告白し、理解しようとしている。
第4話の終わり、美土里の離婚宣告に傷つき、寂しい思いを打ち明ける咲を紘一は力強く抱きしめる。「離婚はやめよう」と口にした紘一はこう続けた。
「君が傷つく姿はもう見たくない」
咲を助けるために救難員になったと思ったほど、咲を思う紘一だからこその台詞に、愛情の深さを感じる。
“絵に描いたようなカタブツ人間”で“純粋でマジメすぎるアツい男”な紘一を、永山は独特な台詞回しやキビキビとした動き方などで体現。その演技は時折コミカルに見えるか、どのシーンにおいても、紘一の良くも悪くもまっすぐな人柄が伝わってくる。だからこそ、紘一が咲と向き合う度、咲を思う深い愛情が感じられるのだろう。「君を一人にはしない」と言われ、堰を切ったように泣き出した咲もまた、彼のあたたかな心に触れたのだと思う。
SNSで「咲と紘一は『離婚』を目標にしなくて良いのでは?」という声も目にした。公式サイトにもあるように、今の時代、離婚自体は珍しくなく、また離婚が幸せになるためのポジティブな一歩として捉えられるようになってきている。紘一の咲を思いやる気持ちははっきりと目に見えてきているが、彼らがどのような選択をするのかはまだわからない。いずれにせよ、二人がお互いを尊重し、理解し合いながら、決断を下してほしいものだ。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS