生瀬勝久、朝ドラ出演4作目『おちょやん』での円熟味 千代の再起を支えるキーパーソンに
反体制的な主人公と対立するなんだか憎たらしくも憎みきれない、権力に従順で情けない、けれどもどこか隠しきれない人情味も持ち合わせたNo.2役や中間管理職的ポジションを演じることが多い。そこでのコミカル度合いも生瀬の手にかかれば自由自在だ。『MIU404』(TBS系)で演じた刑事部長・我孫子役でも、第4機捜隊長・桔梗(麻生久美子)と敵対する立ち位置だったが、おふざけ度は前述の2作品よりは抑え目で、もう少し“堅物感”が強調されていた。
かと思いきや、先期ドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)では、主人公のタイムスリップのきっかけになったキーパーソンで謎の男・小池役を演じた。ドロップアウト臭が凄まじく、何かしら過去に秘密を抱えているのは明らかで、意味深な言動が気になる、最後まで物語の鍵を握る人物を“胸をざわつかせる何か”と“違和感”はそのままに、しかしいつしか視聴者にとって“お決まりの風景”と化して見せてくれた。
本作での生瀬はこのどちらでもなく、どっちかと言えば寡黙、絶対に出過ぎた真似をしないキャラクターだ。偶然、花車と千代の掛け合いを目の当たりにした際に、千代宅の前で佇んでいるだけの立ち姿だけで彼自身の中に起きた変化や決心、閃きを語らせていたのはお見事だった。
第22週「うちの大切な家族だす」では遂に千代が出演するラジオドラマの放送が開始となる。千代の第2の女優人生のきっかけをくれた2人が出揃ったところで、ここから彼女のどんな快進撃が待ち受けているのか楽しみだ。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好き。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/