西野七瀬×千葉雄大の夫婦に共感 『ホットママ』が“自分らしさ”を求める人に送るエール

『ホットママ』が送る、戦う人へのエール

 Amazon Originalドラマ『ホットママ』が、Amazon Prime Videoで独占配信中だ。配信開始後、「夏希のファッションがお洒落すぎる」「元哉みたいな旦那が欲しい」「面白過ぎて一気見しちゃった!」とSNSなどでも話題沸騰中だが、それもそのはず、本作はお洒落で華やかなアパレルブランドの本社が舞台というだけでなく、“仕事と子育ての両立”“男女の役割分担”など避けては通れない“結婚後”の生活の現実をありありと描いているからだろう。しかし、重々しくなりすぎることはなく、“なんとかなるだろう”ではなく、最終的に“なんとかするしかない”と力を合わせて協力する夫婦の奮闘ぶりが描かれる。

 本作は、2013年に中国で放送されたヒット作品『辣媽正傳(英題:Hot Mom!)』を、日中共同プロジェクトとして日本版にリメイクしたものだ。何より本作が新しいのは1話目で主人公の夏希(西野七瀬)の妊娠が発覚し、全12話のほとんど大部分が主人公の“親として”の日常、生き方にフォーカスされたストーリーに仕上がっているところだろう。

 予想外の妊娠・結婚までの流れは多少強引さがありつつも、夏希は“母親とはこうあるべき”“夫婦とはこうあらねばならない”という固定概念に全く縛られず、“自分たちにとっての最適解”を求める。何かを諦めてしまう理由に「母親であること」や「育児」を挙げたりもしない。もちろん、その裏には育児・家事に全面協力してくれる夫・元哉(千葉雄大)の存在や、さらに夏希が働くことに100%賛同してくれ、かつ近くに住んでいる義母の有り難すぎる理解・協力があり、残念ながら今の日本ではなかなか成立が難しい奇跡的に恵まれた環境の賜物であるのもまた事実だ。

 それでも、夫婦を取り巻く全員が最初から、夏希の妻になっても、母になっても何も諦めはしない、ともすれば“欲張り”で“貪欲”にも見えるスタイルに好意的という訳ではない。元哉の職場の上司は「男たるもの、外で働き家族を養うものだ」と講釈を垂れ、元哉のママ友らは夏希の“母親らしくない”ファッションや考え方に最初は眉をひそめる。職場でも育休を取る気まずさや、保活(子どもを保育園に入れるため保護者が行う活動)の大変さ、出産後の職場復帰の難しさなどよりリアルにワーキングママがぶつかる壁についても触れられる。さらには、夏希のバリキャリ上司の木島(板谷由夏)を通して、不妊治療や高齢出産の問題も取り扱われるため、幅広い年齢層の方が登場人物の誰かや、彼らが遭遇する一幕に共感できるだろう。

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