西野七瀬×千葉雄大の夫婦に共感 『ホットママ』が“自分らしさ”を求める人に送るエール

『ホットママ』が送る、戦う人へのエール

 夏希は近くに「ロールモデル」が不在だろうと、“できない理由”を挙げるのではなく、“とにかくやってみる”“やれる道はないか探してみよう”とする柔軟さがある。西野七瀬は元乃木坂46のメンバーで、アイドル時代には“儚げ”“神秘的”といったイメージが強かったようだが、曲によっては自身の感情を爆発させるような激しいダンスを見せることもあり、当時から表現の振れ幅に注目が集まっていた。本作で演じた夏希はサバサバとしており、時に仕事一筋になりすぎて周囲が見えなくなってしまうところもあるものの、どんどん前に進んでいこうとするエネルギーに満ち溢れている女性だ。感情がダダ漏れで、コロコロと変わる喜怒哀楽の表情豊かさに目を奪われる。

 そんな妻を献身的に支える夫役に千葉雄大を配置しているのも納得である。単に尻に敷かれている訳でもなく、何か卑屈になるでもなく、性差による役割という固定概念に縛られない今らしい柔軟さを持ち合わせている。この絶妙なポジションを自然に演じられるのは今のところ千葉くらいではないだろうか。本作での元哉も元々は夏希にとって完全に「安全牌」のポジションだったが、そこから家族になり、きちんと対等な関係を築くまでに至り、さらに時に男性としても夏希をドキッとさせたりする。枠にはまらない“多様性”を見せる作品に、千葉の存在は必要不可欠になっている。

 そんな2人が模索しながら見せてくれる“夫婦のカタチ”に、「あれ、これって夏希が男性であれば、これまで何の問題視もされずに見過ごされてきたことだよな……?」と、今までまかり通っていた男女の役割負担のアンバランスさに改めて気づかされる。

 固定概念や世間体に絡めとられてしまわずに、“自分らしさ”“自分にとっての心地よさ”を重視することが人生をより豊かなものにしてくれることを、夏希と元哉の2人が体当たりで見せてくれる本作は、未婚・既婚、子の有無にかかわらず、どんな人の背中も押してくれることだろう。

 本日でいよいよ最終話まで配信されるが、2人が辿り着く“2人らしい最適解”とはどんなものなのか楽しみに見届けたい。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■配信情報
『ホットママ』
Amazon Prime Videoにて、第9話まで独占配信中
4月9日(金)20:00〜第10話~第12話配信
出演:西野七瀬、千葉雄大、味方良介、横田真悠、萩原利久、清水くるみ、矢野浩司、中
丸新将、板谷由夏
原作:『辣媽正伝』(新麗伝媒集団有限公司)
監督:宮脇亮、北川瞳
脚本:横田理恵、鹿目けい子、高石明彦
音楽:福廣秀一朗、平野真奈
制作プロダクション:The icon
制作:ファントム・フィルム
製作著作:『ホットママ』製作委員会
(c)「ホットママ」製作委員会
公式Twitter:@hotmom_2021
公式Instagram:@hotmom_closet

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