成田凌、多数の出演作で見せる“生っぽさ” 『おちょやん』座長としての重圧を体現

成田凌、多数の出演作で見せる“生っぽさ”

 また、一点の陰りもない瞳で一心にこちらを覗き込んでくるあの視線は、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』で熱演した、一途に大伴(大倉忠義)を想い続ける大学の後輩・今ヶ瀬役でも遺憾無く発揮されていた。本作がBL作品の域を超えて支持されているのには、やはり成田の“やりすぎない、作り込みすぎない”役づくり、演技があってこそのことだろう。

 前半に大伴の気まぐれや寂しさに自分も付け入りながらも、仲を深めてもなおなかなか自分1人には絞ってくれない大伴に対するもどかしさと、それもわかった上でこの関係を始めながら不満を抱いてしまう自分自身への苛立ちを、もはやミリ単位の繊細さで、丁寧に表現し、性別にかかわらず“普遍性”にまで見事昇華させ、多くの観客から共感を引き出していた。成田の見せてくれる大袈裟ではない感情の“生っぽさ”にはどうしたって引き込まれてしまう。

 『おちょやん』では、松島寛治(前田旺志郎)含め座員や家族が増え責任感が増していく座長として、夫としての成長ぶりを、また歳を重ねていく様を引き続きどんな風に見せてくれるのかが楽しみだ。

 また、今月末に公開予定の成田主演映画『くれなずめ』では、映画『街の上で』に続き『おちょやん』出演者の若葉竜也との共演が見られるのも待ち遠しい限りだ。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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