成田凌、多数の出演作で見せる“生っぽさ” 『おちょやん』座長としての重圧を体現

成田凌、多数の出演作で見せる“生っぽさ” 『おちょやん』座長としての重圧を体現

 『おちょやん』(NHK総合)出演で、改めてその演技力に注目を集めており、“人気俳優”の座を確かなものにした成田凌。主人公・千代(杉咲花)の夫であり「鶴亀家庭劇」の座長を務める天海一平役を好演している。朝ドラ出演は『わろてんか』(NHK総合)ぶり、2作品目となる。

 成田と言えば、顔立ち自体が垢抜けておりお洒落ながら、“正統派”の役どころに収まることなく、実に幅広い役どころを演じ分けてきた。彼が持つ大きな魅力の1つが「愛らしさ」とそれゆえの凄まじい「吸引力」と言えるだろう。“彼ゆえに許され、だからこそ成立する”そんな役どころが多かった。“ヘラヘラした男”という、いわゆるイケメンが演じるにはかなり難しい役どころを事もなげに演じてのける。一見したところどうしようもないキャラクターにも「憎めなさ」や「人たらし」要素をそっと添えるのが何とも上手い。

 映画『愛がなんだ』で演じたマモちゃん役では、主人公のテルコ(岸井ゆきの)と“友達以上恋人未満”の関係を悪気なく続ける掴みどころのない青年を演じたが、彼も彼でまた全く自分に振り向いてはくれない年上の女(江口のりこ)に恋心を抱き続ける側でもあった。2人の女それぞれに見せる顔が全く異質にもかかわらず同時に違和感なくそれが共存している、そんな男の都合の良さをつぶさに描く。ここまで「男性側の恋心」を見せつけてくれた作品も俳優も過去いなかったのではないだろうか。1つの作品内で様々な表情どころか全くの両極端な顔の“共存”を自然な形で見せてくれるのも成田ならではのことだろう。

 『おちょやん』でも、飄々としていながらも実際には幼少期から家族関係に問題を抱え、母親の愛情に飢えており、喜劇を通して自分で自分を癒していくような側面もある役どころを長期間に渡って見せてくれている。

 “両極端な顔”と言えば、映画『スマホを落としただけなのに』で、物語前半と後半でセキュリティ専門家・浦野という男の全く異なる顔をさらけ出し、オーディエンスに強烈な存在感を植え付けた。公開間もない映画『ホムンクルス』でも、闇を抱えた研修医・伊藤の怪演を見せてくれているが、臆病ゆえの威嚇、そのための派手な鎧を身に纏い、不安定でままならない自分を抱えながらも狂い切ってはしまえない苦しみや一抹の人間臭さを見事体現している。

『まともじゃないのは君も一緒』(c)2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

 かと思いきや、現在上映中の映画『まともじゃないのは君も一緒』で見せる大野役では、コミュニケーション能力ゼロであまりに冴えない予備校数学講師を演じる。独特すぎる笑い方や話の間合い、猫背な様子も含め、まるで実在するモデルがいてその完コピかのような人物像をありありと描き出している。そこで印象的だったのは、「真っ直ぐな視線」である。大野が何の曇りもない瞳で香住(清原果耶)に疑問を投げかけるシーンは必見である。

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