ジャニーズJr.×文豪作品、誕生の背景は? 井上衛Pが明かす、エンタメ界をつなぐ想い
キラキラとしたジャニーズアイドルとは違う「役者・少年忍者」の顔を
――みなさんが注目するトップバッターで、「黒田さん×蜘蛛の糸」となったのは理由がありますか?
井上:黒田くんは横顔の陰影がカッコいいなという印象が強かったんですね。きっと影のあるダークな役柄をやったら、光るんじゃないかという直感がありました。第1話は誰もが一度は聞いたことのある「蜘蛛の糸」でいきたいというのがあった上で、黒田くんのダークな部分を引き出していけたらなと。いわゆるジャニーズJr.としていつも発信しているキラキラした姿とは違う姿も見られるんだよという、シリーズ全体の象徴になってほしいという願いもありました。
――少年忍者のみなさんの中には、初めてドラマに出演するメンバーもいたとお聞きしました。撮影を通じて、成長を感じるシーンはありましたか?
井上:正直、最初に会議室で台本の読み合わせをしたときには、「大丈夫かな?」という子も何人かいました。読めない漢字を、わからないまま来ちゃう子もいて(笑)。「怒ったりしないからわからないならわからないって聞こうね」と教えるところからのスタートだったんですけど、そこから変わっていく姿に目を見張りました。日に日に役者の顔になっていくというか。その成長スピードは、さすがジャニーズだと思いました。HiHi Jetsの高橋さん、美 少年の那須さんのときも、実はおふたりにとってドラマ初出演だったんです。素直でまっすぐに聞くスタンスや、当たり前のように周囲に気遣える姿勢、そして吸収力の高さは一貫しているなと思いますね。
――今回は、佐藤アツヒロさんや長谷川純さんといった先輩ジャニーズメンバーも登場されますね。
井上:長谷川純さんが「段取りのときに台本を持たない」っていうジャニーズの伝統があるとおっしゃっていて。上手い下手ではなく、まずはセリフを入れて臨むものだというのが浸透しているようで、少年忍者のみなさんも全員、そこはしっかり守られているのが印象的でしたね。ベテランの役者さんでも、台本を持ちながらやる方もいらっしゃるなか、最初からその意識で臨む姿勢が素晴らしいと思いました。1話当たり2〜3日で撮っていくようなハードスケジュールでしたし、かなり寒い中での撮影もあったのですが、みなさん本当に前向きで、また一緒に仕事がしたいと思わせる力が彼らにはありました。
――過去のインタビューで「WOWOWらしいか否かが会議で議論される」とおっしゃっていましたが、今回の企画については、どのあたりにWOWOWらしさを感じられていますか?
井上:ジャニーズJr.のみなさんでドラマを作るとなると、多くの場合コミック原作のキラキラとした学園モノが王道なわけです。そこをWOWOWがやるならと考えたときに、やっぱり普段、雑誌やYouTubeで見せていない姿を開拓したいという気持ちはありました。同世代はもちろん、大人の世代の方々にも、新しいエンターテイナーたちを知ってもらうきっかけになってほしいという期待も込めて。今回は、「世代を繋ぐ」というアプローチがWOWOWらしいというか、他とは異なるのかな、と思います。