『鬼滅の刃』に特別栄誉賞、津田健次郎に納得の主演賞 「第十五回 声優アワード」を振り返る

 その年度に活躍した声優や長年にわたって活動するベテラン声優を表彰する「声優アワード」。その第15回目の受賞者が3月6日、配信番組「文化放送 超!A&G+スペシャル 第十五回 声優アワード 受賞者発表SP」で発表されました。全受賞者・および受賞作品については公式サイトで確認していただきたいですが、今年度におけるいくつかのトピックを紹介します。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 まず触れなければいけないのは『鬼滅の刃』の特別栄誉賞受賞です。そもそも今回の表彰対象となるのは、2019年10月1日から2020年9月30日までに発表・リリースされた作品とその出演者。『鬼滅の刃』はTV放送された『竈門炭治郎 立志編』も劇場公開された『無限列車編』も対象とはなりません。しかし対象期間に世間の話題をもっとも集めた作品が『鬼滅の刃』なのは多くの人が認めるところでしょう。そのため選考委員会も「最大限の敬意を払って」(発表時のコメントより)特別栄誉賞という前例のない賞を設定して『鬼滅の刃』の功績を称賛しました。

 なお『鬼滅の刃』に出演する声優も今回各賞を受賞しましたが、その仕事を評価されてのものではないでしょう。続編となる『鬼滅の刃 遊郭編』の2021年のTV放送も発表されており、現在のフィーバーが続けば来年度に行われる第16回目の「声優アワード」では『鬼滅の刃』出演声優が主演賞や助演賞で多数選出されるのではないでしょうか。

下野紘

 また声優ファンの間では、MVS〈Most Valuable Seiyu〉として下野紘さんが選出されたことも話題になりました。MVSは「声優アワード」において一般投票によって決まる唯一の部門で、今年もっとも活躍したと思う声優が選ばれます。「声優アワード」では過去に一般投票における最多得票を得た人に贈られる賞があり、5年連続の受賞となった神谷浩史さんは殿堂入り。MVSという形式になってからも第13回、第14回と神谷さんが受賞していましたが、今回その牙城を下野さんが崩した格好です。下野さんは近年では『鬼滅の刃』の我妻善逸が有名ですが、ほかにも対象期間内では『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』の七月清司や『ピーター・グリルと賢者の時間』のピーター・グリルといった役柄で好演していただけに妥当な結果でしょう。

津田健次郎

 また主演賞や助演賞の受賞者も納得のラインナップに。主演男優賞の津田健次郎さんは『群れなせ!シートン学園』の各種オス動物や『天晴爛漫!』ギル・T・シガーなど助演での活躍の印象が強かったですが、『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』の名探偵・酒井戸や『無限の住人-IMMORTAL-』の万次といった主人公役も評価されての受賞となりました。また、NHK朝の連続テレビ小説『エール』で語りを務めるなど、アニメに留まらない活躍を見せていました。多くのアニメに出演し続けているもののこれまで受賞していなかっただけに、「ようやく」という思いを抱いたファンもいたのでは。

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