明日海りお、『おちょやん』で放つただ者ではないオーラ “ザ・女優”をどう魅せる?

明日海りお、“ザ・女優”をどう魅せる?

 明日海が本ドラマで演じる高峰ルリ子は、東京新派の名門・花菱団で活躍した元トップ女優。“元トップ”という肩書と“花菱”の“花”が本人の経歴にリンクしているような気もしつつ、第9週の登場場面では「プライド高そう」「チームプレイ苦手そう」「舞台女優という仕事に強い自信を抱いている」くらいしかルリ子の人物像におけるヒントが提示されていなかった。

 新設された「鶴亀家庭劇団」は、その名の通り、ホームドラマ的な喜劇を上演する劇団。あの孤高の存在にも見えたルリ子が、果たして喜劇に則する芝居ができるのか。

 じつは明日海、この『おちょやん』が宝塚退団後、初めて参加したドラマの現場。10代の頃からタカラヅカというある種特殊な世界で生きてきた彼女にとって、ドラマ撮影では驚いたり戸惑ったりすることも多かっただろう。そんな明日海自身の体験が、未知の世界にやってきたルリ子のキャラクター構築に深みをもたらすようにも思う。

 これまでの『おちょやん』で、千代の人生に大きな影響を与えた女優は2人。「自分の中から聞こえる声に従いなさい」と語った千代憧れの人・高城百合子(井川遥)と、千代の最初の師匠であり、今は自らの芝居を見つめ直すため、全国を渡り歩いている山村千鳥(若村麻由美)だ。

 第3の女優=高峰ルリ子は千代とどんな関係を築いていくのか。その名前からも一筋縄ではいかない香りが漂う中、華やかな大階段を降りてきた明日海りおが、クセの強いザ・女優をどう魅せるのか非常に気になる。

 千代にとってのルリ子は、憧れの存在でも師匠でもない“共演者”になるはずである。そこで起きる化学反応に注目したい。

■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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