若葉竜也の「千代ちゃん」をもう一度 『おちょやん』“小暮ロス”を起こした優しさ

若葉竜也の「千代ちゃん」をもう一度

 『おちょやん』第8週では、SNSも騒然となるほど千代(杉咲花)に対する父親テルヲ(トータス松本)の暴言、ダメ親父ぶりが炸裂した。博打をやめられないテルヲは、いつも調子のいい言葉を並べては千代を裏切る。借金を繰り返し、返済できなくなると千代を頼る。子供の頃から苦労が絶えない千代にとって、鶴亀撮影所で出会った助監督の小暮(若葉竜也)は癒しであり、初恋の人であり、応援してくれる女優として心強い味方であった。

「どうしようもない父を見て育った自分は、誰も好きにならなくていいと思っていた。でも、そうではないとあなたが教えてくれた。あなたを好きになれてよかった」

 千代が撮影所で初めて褒められたその演技は、小暮に対する素直な気持ちを表現したものだった。

 小暮は、いつか監督になって自分の作品で千代を主役にしたいと脚本を書き続けていた。しかし、なかなか認められず、助監督のままだったことで、父親から実家に帰って跡を継ぐよう説得される。千代はといえば、テルヲが自分の貯金を当てにして現れたことが原因で撮影所やカフェー「キネマ」に迷惑をかけたうえ、千代の通帳と印鑑を持ち出そうとしたことで、テルヲと親子の縁を断ち切った。

 啖呵を切り、自分の財布の中身を投げつけ、「金の切れ目が縁の切れ目や……二度とうちの前に、その薄汚い顔見せんといて」と言った千代は、女優を続ける意欲さえ失った。そんなタイミングで小暮は「僕と一緒に東京に来てくれないか」「僕と結婚してください」と千代にプロポーズした。千代はテルヲに全財産を持っていかれて、まさにすっからかん。小暮の父は東京で病院を経営していて、彼と結婚すれば裕福な暮らしが待っている。そして、何よりも小暮は優しい。

 でも、千代は喜びよりも戸惑いの表情を見せる。千代の戸惑いの理由は、撮影所で一平(成田凌)と再会したことによりはっきりと分かった。小暮を演じる若葉竜也は、一平役の成田凌と映画『愛がなんだ』でも共演しているが、どちらの作品でも、2人は正反対のキャラクターを演じている。『愛がなんだ』では成田凌演じるマモルがテルコ(岸井ゆきの)を振り回し、若葉竜也演じるナカハラは、テルコの友人・葉子(深川麻衣)に振り回されるという役柄。

 『おちょやん』において小暮は、映画監督という職業に就くことを夢見て、理想を追い求めるピュアな青年。なかなか脚本が認められず、助監督のまま過ごしているが、挫折感や屈辱を味わうほど追いつめられてはいない。

 家族に愛されて育った品の良さ、穏やかさが小暮の魅力であり、「落ち着いたら千代ちゃんのお父さんも東京に呼んであげたらいいよ。うちで面倒みるから」などという言葉が出てくるのだ。

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