『ウチカレ』赤楚衛二×川上洋平が体現した“作り手”たちの葛藤 予告通りの大荒れ恋模様も

『ウチカレ』が描く“作り手”たちの葛藤

 『私は、彼氏が出来ない!!』……ではなく、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)第4話は、先週からの予告通りに大荒れの恋模様となる。

 鯛焼き屋「おだや」には、碧(菅野美穂)と空(浜辺美波)に、ゴンちゃん(沢村一樹)、入野(岡田健史)、渉(東啓介)と“松竹新喜劇”みたいな展開に。碧は漱石(川上洋平)と2分47秒の間に口づけを交わすほどに急接近し、空は渉に本物のデートを申し込み。入野は空への思いを諦め始めていた。空に渡せなかったビー玉を川へと投げ捨てる入野。家入レオが歌う「空と青」の2番の歌詞〈青く光る ビー玉/夕焼けに吸い込まれ/届かないこの思いごと 落ちていく〉がエンディングの画とマッチしていた。

 入り乱れる相関図の一方で、第4話にて描かれていたのはクリエイティブに対する愛と情熱だ。碧の小説『私を忘れないでくれ』が、全国ドームツアーを開催するほどの人気バンド、サイレントナイフのボーカル・ユウト(赤楚衛二)主演で映画化することに決定。しかし、ユウトが提示したのは登場人物の男女の設定を丸々入れ替え、主演の役を立たせた新たな脚本。それは原作者を侮辱した自分勝手なリクエストだった。さらに、碧は編集長の小西(有田哲平)から映画公開の承諾と次の書き下ろしを交換条件に出される始末。遠回しに“オワコン”扱いをされながらも、多くのファンを抱える恋愛小説の女王・水無瀬碧としてのプライドもまだある。

 金儲けのための便利なおもちゃ扱いされる碧の原作。最早原型すらない、めちゃくちゃな脚本に担当編集として黙っていられなくなった漱石は、脚本家(本多力)に直接交渉に向かう。そこにいたのは「脚本家」という肩書きだけのゴーストライター。映画も、キャストも、観客も舐め腐った、私利私欲だけに生きる男だった。

 次に向かうのは、ユウトの元。そこではユウトと事務所の社長が映画の主題歌のアレンジで揉めていた。映画に出演する代わりに音楽だけは好きにやらせてほしいと頼み込むユウトに、社長は売り上げが落ちている現実を突きつけ「こっちもだてや酔狂でこの仕事やってんじゃねぇんだよ、ユウト。商売なんだよ」と胸ぐらを掴み合う喧嘩にまで発展していく。

 ユウト自身も碧に無茶な依頼をしていることは自覚していた。曲に命があるように、物語にも命がある。生みだすためにかかった苦労と時間。漱石の説得の甲斐もあって、原作通りの設定で映画化されることが約束された。

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