『青のSP』スクールポリスはマタハラにどう立ち向かったか? 藤原竜也を突き動かすもの
考えさせられる回だった。『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(カンテレ・フジテレビ系)第2話は、マタハラ(マタニティハラスメント)の話題を軸に展開する。3年2組の担任、水野楓(山口紗弥加)は妊娠3カ月で産休と育休を取得することになっていた。しかし、校内にはそのことを快く思わない人間もいた。ある日、楓は引き出しにネズミの死骸が入っているのを見つける。
厚生労働省によると、マタニティハラスメントとは「妊娠・出産・育児休業等を理由として嫌がらせをされること」。ハラスメントは、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることなので、一方的に嫌がられるような言動はハラスメントにあたる。教師が受けるマタハラは通常の比ではない。同僚の教師だけでなく、保護者や生徒からも心ない言葉を浴びせられる。……生徒からも? 答えはイエスだ。理解が至らない故に、投げつける言葉は大人以上に直接的で「流産すればいいのに」などと恐ろしいことを裏アカウントで言いつのる。「高校受験を控えて休むのは無責任」とか「思春期特有の潔癖症」など理由は様々だが、自覚がない分、反発の度合いは激しい。
楓本人も責任感が強く自分を責めてしまう性格のため(そのこと自体は悪くないが)、結果として、マタハラする側の論理を受け入れて余計苦しい立場になる。こう書いていて、楓と同じ思いをしている人がたくさんいることに気づいた。産休や育休を十分取得できない職場もあり、経済的な理由や同僚に迷惑をかけないために無理をしている人は大勢いるからだ。
ハラスメントをしている方は気付かないし(気付いている場合もあるが)、されている方は言い出せない。おそらく最大の敵は「わからなさ」で、わからなさの元凶は「わかっている」という思い込みだろう。そして、生徒のことをわかろうとしている教師が、いちばんわかってもらえないという構造的な問題がある。
というわけで、ここからは倫理の時間ではなく、スクールポリスについて。第2話で興味をひかれたのは、マタハラの問題は誰が解決するのだろうということ。今回について言えば、マタハラの陰に真の原因(無免許教師)があったが、それが発覚したのはマタハラがきっかけだった。ただし犯罪に至らなければ、当事者が言い出さない限り警察は手が出せない。青木(渋谷謙人)が犯行に及ばなかったら、楓はハラスメント体質の同僚や生徒・保護者に囲まれたまま、直前まで産休も取れなかっただろう。