『青のSP』は刑事ドラマか、学園ドラマか? 一瞬で空気を変える藤原竜也の演技スイッチ
学校という聖域に立ち入ることができるのは教師と生徒だけ。しかし、そこでは一般社会と同じように様々な問題が起きる。教師と生徒だけで解決できない問題はどのように解決すればよいのだろうか?
『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』(カンテレ・フジテレビ系)は学校を舞台にスクールポリス(SP)の活躍を描く、のではなく、学園ものの要素を含んだ? ……思わず考え込んでしまったが、本作が刑事ドラマか、それとも学園ドラマなのかという疑問は、放送開始前からすでに筆者の頭の中にあった。その疑問は第1話を観ることで氷解した。生徒が主役ではない『青のSP』は学園ドラマではない。だが、学校という特殊な環境で働く警察官は通常の刑事ドラマとも異なる。結論、これは「スクールポリス」という新しいジャンルの作品である。
「子どもは大人の鏡」と言われるが、子どもたちが過ごす学校は社会の縮図そのものだ。インターネットであっという間に情報が拡散する現在において、学校の中と外を隔てるのがコンクリートでできた校門だけというのは、不安をあおるわけではなく事実である。個人的に、第1話ではスクールポリスの必要性を説得的に描いているように感じた。
藤原竜也演じる嶋田隆平は偽悪的な要素が強調されていたが、わざわざ捜査一課から志願して公立中学に来た理由はおいおい明らかになるだろう。現役中学生を含む生徒役を相手に一切手加減なしの藤原は、かつて自分が蜷川幸雄に鍛えられたように子役に接しているのだろうか? 一瞬で空気を変える演技スイッチで、制服を着ていても中身は型破りな嶋田という人間を、そのクセの強さや、ややオールドファッションな正義感の形も含めて確立していたのはさすがというほかない。
迎え撃つ生徒役も楽しそうだ。どうしたってこの手のドラマに出てくる生徒は、子役時代からキャリアを積み上げてきた精鋭中の精鋭。また折に触れて見せ場が用意されていると思われるので、今日はここでとどめておく。
「お前ら全員逮捕」「俺はあいつらを教育しに来たわけじゃない」「お前たちに守る価値なんてなかった」。すごすぎてクラクラしてくるけど、言われてみればうなずける部分もあって、嶋田は教育ではない「何か」を伝えに来たことがわかる。猛省のための猛省ではなく、背丈と思考能力は大人並みにある中学生たちに、早く大人になれと無言のうちに促すのだ。言うなればそれは敬意であり、バトンを渡す相手への通過儀礼として嶋田は存在している。