『ボス恋』以降のTBS火曜ドラマはどうなる? タイトルの「恋」から占うそのトレンドと展望
『恋はつづくよどこまでも』(以後『恋つづ』)、『おカネの切れ目が恋のはじまり』(以後『カネ恋』)、『この恋あたためますか』(以後『恋あた』)……2020年に放送された「TBS火曜ドラマ」で、この3作品に共通するのはタイトルに「恋」が入っており、世の女性の“胸キュン”を見事かっさらっていったことだろう。2019年の同枠を見てみると、タイトルに「恋」を謳うものは『初めて恋をした日に読む話』のみで、同枠がターゲットとしている“働く女性”にダイレクトに向けたお仕事ドラマが目立った。
振り返ってみると、やはり『恋つづ』以降、一気に胸キュンに寄せた内容が増えている傾向にあるのは明らかで、この時の制作スタッフが再結集した『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(以後『ボス恋』)の放送も間もなく控えており期待が寄せられている。
世界中が未曾有のパンデミックに見舞われ、突如人々は“ソーシャルディスタンス”を余儀なくされ、様々なところで“分断”が見られた。ライブもコンサートも試合も「無観客」となり、パフォーマンスする者と応援する者の間にはどうしたって以前ほどの一体感を生み出すのが難しくなっているのは否めない。そんな中、ドラマ作品の中で主人公たちが自由にオフィスに出勤し街中を移動し、誰かと恋したり傷付いたりする姿に救われた人も少なくなかったのではないだろうか。
特に「恋愛」、こと「恋の始まり」にこのパンデミック下はすこぶる相性が悪い。自由な移動もままならない外出自粛が強いられており、単純にご新規で出会う人の数が減っている上、リモートワーク体制下では社内恋愛も生まれづらいだろう。
よく知った自宅で過ごす時間は安全で守られているとも言えなくはないが、その中で起こることは予定調和で、どうしたってエンタメの世界に「予想外」「想定外」を求めたくなる気持ちが高まるのも必然のことだ。自宅という密閉空間では恋が始まる“3つのing”ーー「ハプニング」「タイミング」「フィーリング」ーー全てと無縁である。