テレ東が日本のドラマ界を変える? 『チェリまほ』『共演NG』など“バズ”を生み出す理由

テレ東が日本のドラマ界を変える? 『チェリまほ』『共演NG』など“バズ”を生み出す理由

 テレビ東京のドラマがアツい。それぞれが作中でウィズコロナ時代を描き、話題性も全体的な視聴者からの評価も高かった2020年冬ドラマ。オリコンが発表した「ドラマ満足度調査ランキング」(参照:オリコン「テレ東のBLドラマが2度目の満足度首位 丁寧な人物描写でみせる純愛ストーリー」)では、1位に『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称『チェリまほ』)、6位に『共演NG』がランクインするなど、ドラマに強みを持つフジテレビやTBSの作品を抑え、テレ東のドラマが存在感を放っている。

 テレ東のドラマといえば、これまで深夜枠に放送されていた飯テロ必至のグルメドラマのイメージが強い。その代表格が、2012年から2019年にわたってシリーズ化され、大晦日には毎年スペシャルドラマとして放送される松重豊主演の『孤独のグルメ』だ。

『孤独のグルメ 2020 大晦日スペシャル〜俺の食事に密はない、孤独の花火大作戦!〜』(c)テレビ東京

 このドラマは輸入雑貨の販売を生業とする主人公・井之頭五郎が、仕事帰りに立ち寄った飲食店で美味しそうな料理に舌鼓を打つ姿を映し出す。お店の雰囲気や料理の見た目、味の感想を五郎がモノローグで呟くだけで、あとはひたすら中年のおじ様がご飯を食べているだけ。目立ったストーリーもないが、演じている松重が綺麗に、そして心から美味しそうに食事をする姿を観るとそれだけで喉の奥がゴクリ。また彼の満足そうな顔のおかげで、空っぽの胃が不思議とポカポカ温まってよく眠れる。ドラマでは実際の飲食店が撮影に使われているので、後日視聴者が五郎と同じメニューを食べに訪れることもあるという。

 他にも、佐藤二朗演じるエリート街道から外れた刑事・立花がB級グルメやファーストフードなどの味よりもうんちくを多く語る『めしばな刑事タチバナ』、主人公の幸子(高畑充希)が結婚式当日に婚約者に逃げられた悲しみを打ち消すように、ご飯でお腹を満たす 『忘却のサチコ』、両親の再婚で姉妹になったサチ(山田杏奈)とあやり(大友花恋)が料理を通じて“家族”になっていく姿を描いた『新米姉妹のふたりごはん』など、眠れない夜にホッと一息つけるグルメドラマが多い。

劇場版『きのう何食べた?』(c)2021劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 (c)「きのう何食べた?」製作委員会

 また、これらの作品はすべて漫画を原作としているが、実写化の評価が高いのもテレ東ドラマの特徴だ。例えば、グルメ作品としての面も併せ持つ『きのう何食べた?』。このドラマはよしながふみによる同名漫画を原作に、西島秀俊と内野聖陽が演じる同性カップルの日常を描いている。配役のセンスも抜群で、2人がどんな時も丁寧に作る家庭料理は真似したくなるほど魅力的だが、深夜ドラマにもかかわらず今年映画化も予定されているほど人気を博したのは、同性カップルが直面する葛藤、家族や周囲の人間に受け入れてもらうことの難しさと誠実に向き合っていたからだ。茶化すでもなく、変に理想的でもない。ただ原作に忠実に、2人の行く末をあたたかな目線で描いた。

 それは2020年冬ドラマで大きな話題となった『チェリまほ』も同じ。このドラマでは豊田悠による原作の世界観を保ったまま、今度はより自然に男性同士の恋愛模様を映し出した。テレ東は動画配信サービスのParaviと連動するドラマパラビにおいて、『来世ではちゃんとします』や『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』など、女性の性愛を赤裸々に描いた漫画作品も実写化しているが、その度に私たちの固定概念を覆し、価値観を多様に広げてくれる。ふと登場人物が発した言葉に心揺さぶられることも多い。

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