年末企画:藤津亮太の「2020年 年間ベストアニメTOP10」 オリジナル企画が印象的な1年に
『GREAT PRETENDER』(鏑木ひろ監督)と『体操ザムライ』(清水久敏監督)の共通点はドラマのロジックの明快さだ。そしてどちらもドラマのロジックの明快さを、キャラクターの愛嬌でフォローすることでポップな作品に仕上げている。こう書くと「計算ずくのいやらしい作品」ととる人もいるかもしれないが、「計算された展開」と「愛嬌あるキャラ」を(ここ重要)自然に止揚している作品そのものがレアなのだ。
『アクダマドライブ』(田口智久監督)と『ID:INVADED』(あおきえい監督)はアニメならではの大仕掛けな設定を導入部にしつつも、人間の「正気」を問い直してくるところに共通点がある。だから、どちらも刺激の強い描写がウリに見えても、最終的には叙情を帯びた物語に落着していく。個人的にはこのあたりがいちばん明確に「日本製アニメのストロングポイント」が示されていると思う。
『D4DJ First Mix』(水島精二監督)は手描きだろうが3DCGだろうが、緩急と情報の密疎のコントロールこそがキモということを実感できる楽しさがあり、『神様になった日』(浅井義之監督)はベタに見えて変化球、変化球にみえてベタというスイッチングの呼吸が作品を盛り上げている。
世界の“普通”が変わろうとしている今、2021年以降のアニメの未来もまた混沌として見えない。ただ、こうしたオリジナル企画が生まれる多様性だけはなるべく減じてほしくはないと思う。
■藤津亮太
1968年生まれ。アニメ評論家。主な著書に『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『プロフェッショナル13人が語る わたしの声優道』(河出書房新社)、『ぼくらがアニメを見る理由』(フィルムアート社)など。アニメ!アニメ!にて アニメ時評「アニメの門V」を連載中。Twitter
■公開情報
『魔女見習いをさがして』
全国公開中
声の出演:森川葵、松井玲奈、百田夏菜子、千葉千恵巳、秋谷智子、松岡由貴、宍戸留美、宮原永海、石毛佐和、石田彰、浜野謙太、三浦翔平
原作:東堂いづみ
監督:佐藤順一、鎌谷悠
脚本:栗山緑
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
プロデューサー:関弘美
アニメーション制作:東映アニメーション
配給:東映
(c)東映・東映アニメーション
公式サイト:Lookingfor-Magical-Doremi.com
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