The Wisely Brothers 真舘晴子の「考えごと映画館」第4回
The Wisely Brothers 真舘晴子の『かもめ食堂』評 背中を押される人生の味
この映画では、面白い日本語を多く見つける。こうした日本語は実はたくさんあって、なんとも可愛らしいなぁ、と考え直す。
「森」、「わたしの荷物」、「カーネーション」、「おにぎり」
作中に出てくる風景の色味やこころと似合う言葉。セリフもこの映画の大切なところだ。
「コピ・ルアック」。これはフィンランド語。家で観賞しているからこそできることだが、コーヒーにまつわるシーンを観ながら、この間もらったコーヒーを入れる。映画と同じように、ドリップする手前でおまじないをかけてみる。そして一口。いつもより美味しく感じた。
もたいまさこの素晴らしい安心感と、片桐はいりのぎゅっとした寂しがりやな心、小林聡美の「大丈夫、多分」という気持ちの、背中を押される人生の味。
この映画を観ない間に、わたしは様々なものに出会ったんだと気づいた。そうか、思い出すものが増えていくのが人生なのだろうか?
なんだか新しく必要なものを探してしまう日々だけれど、案外もう手の中にあって、それをもう一度すくうちょうど良いタイミングをつくることが、今は何かの秘密なのかもしれない。
大切なものに出会う瞬間は人それぞれ。それがどんなタイミングであろうとも、大切にしていけたらいいなと、この映画を観て、シンプルにそう思ったのだ。
■真舘晴子
The Wisely BrothersのGt/Voを担当。
都内高校の軽音楽部にて結成。オルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。
2014年下北沢を中心に活動開始。 2018年2月キャリア初となる1st full album『YAK』発売。
2019年7月17日に2nd Full Album『Captain Sad』をリリース。
公式サイト:http://wiselybrothers.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/wiselybrothers/
■作品情報
『かもめ食堂』
監督・脚本:荻上直子
原作:群ようこ(幻冬社)
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ