年末企画:キャサリンの「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 “ドラマらしいドラマ”復権の年に

キャサリンの「2020年ベスト海外ドラマ」

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2020年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、海外ドラマの場合は、2020年に日本で放送・配信された作品(シーズン2なども含む)の中から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクト。第6回の選者は、海外テレビシリーズウォッチャーのキャサリン。(編集部)

1.『キング・オブ・メディア』シーズン2(HBO/スターチャンネル)
2.『ウォッチメン』(HBO/スターチャンネル)※
3.『クイーンズ・ギャンビット』(Netflix)※
4.『グッド・プレイス』シーズン4(NBC/Netflix)
5.『ダーク』シーズン3(Netflix)
6.『フィール・グッド』シーズン1(Netflix)
7.『アンオーソドックス』(Netflix)※
8.『ベビーシッターズ・クラブ』シーズン1(Netflix)
9.『ノーマル・ピープル』(Hulu/Starzplay)※
10.『ザ・ボーイズ』シーズン2(Amazon Prime Video)
「※」はリミテッドシリーズ

 編集部の規定により2020年に日本で放送、配信された作品(アニメーションは除外)から10選とした。1位~5位は早い段階から固まっており、今年イチオシの作品群。6位~10位は一応順位を付けてはいるが、甲乙つけがたく全て同率と言ってもいい。終わってみれば近年のトレンドであった「映画のようなドラマ」に加え、いわゆる「ドラマらしいドラマ」が2020年にアップデートされて復権を果たしたようにも思う。

「映画のようなドラマ」ジャンルを牽引するリミテッドシリーズは今年も健在

WATCHMEN and all related characters and elements are trademarks of and (c)DC. (c)2020 Warner Bros. Entertainment Inc. (c)2020 Home Box Office, Inc.

 10作品中4作品がリミテッドシリーズ。DC作品がこんな形でアップデートされるのだと、ただただ驚愕した『ウォッチメン』は文句なしのリミテッドシリーズ中ではトップ。チェス人気の社会現象まで起こしたNetflix『クイーンズ・ギャンビット』はアニャ・テイラー=ジョイのキャリアハイの演技に脱帽。スコット・フランク監督の次作が楽しみで仕方がない。Netflix『アンオーソドックス』、Hulu(日本ではStarzplay配信)『ノーマル・ピープル』はインディー映画のドラマ化というか、小説を1ページずつ丁寧に読み解くような演出と、主演若手俳優達の繊細な演技に目を見張った。新しいリミテッドシリーズのジャンル開拓に一役買ったのではないか。

ドラマらしいドラマの多様化

 「自由意志」という哲学的トピックを全く異なるアプローチで描いた『グッド・プレイス』と『ダーク』はいずれもピークTV初期に始まり、数年かけクリエーターが目指した完璧なファイナルシーズンを飾った。『グッド・プレイス』はオバマ前大統領も年間ベストに入れており、人間の希望を最後まで追い求めたスタイルに拍手。ドイツ発のドラマ『ダーク』は配信ドラマだからこそ何度も観て深みが増す凝ったストーリーが最後まで続き圧巻。今後語り継がれるSF傑作となるだろう。

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