年末企画:田近昌也の「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 英米以外の国で良作が続々登場

年末企画:田近昌也の「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 英米以外の国で良作が続々登場

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2020年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーを紹介。海外ドラマの場合は、2020年に日本で放送・配信された作品(シーズン2なども含む)の中から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクト。第2回の選者は海外ドラマライターの田近昌也。(編集部)

1.『ダーク』シーズン3(Netflix)
2.『カリフェイト』(Netflix)
3.『クイーンズ・ギャンビット』(Netflix)
4.『ザ・クラウン』シーズン4(Netflix)
5.『セックス・エデュケーション』シーズン2(Netflix)
6.『ザ・ボーイズ』(Amazon Prime Video)
7.『ハリウッド』(Netflix)
8.『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』(Amazon Prime Video)
9.『プロット・アゲンスト・アメリカ』(スターチャンネルEX)
10.『梨泰院クラス』(Netflix)

 2020年は多くの人にとって特別な年であったはずだ。その一番の理由はもちろん年初から世界を襲った新型コロナウイルス感染症だが、ハリウッドの膝元であるロサンゼルスを含む世界の主要都市の中には今も外出制限がかかっている場所がある。さらにそのパンデミックを巡って各国でアジア人差別が表面化したり、5月にはアメリカでのジョージ・フロイド氏の死をきっかけに全米で黒人差別への抗議運動が起こったりと、これまで続いてきた多様性に対する議論の軋みが聞こえてくるようであったが、海外ドラマの世界では、マイノリティの苦悩やアイデンティティの模索といったテーマがドラマ黄金時代を席巻していた流れは完全に終わったように見えた。そういった所謂リプレゼンテーションに関するテーマが強く出されたシリーズに対して、オーディエンスはやや食傷気味になっているのかもしれない。

 一方、海外ドラマというとついアメリカやイギリスのシリーズを思い浮かべてしまいがちであるが、それ以外の国でも非常に高い質の作品が続々と作られているのは世界的な流れだと感じている。筆者が今年のトップに選んだ『ダーク』もドイツで製作された作品だ。過去と未来を行き来しながら複数のタイムラインに渡って登場人物たちの血縁関係や恋愛が絡み合う壮大なドラマでありながら、あくまでも小さい村のいくつかの家族にまつわるストーリーにとどめたことで、物語がとてもパーソナルに、美しくまとめられている。6月27日に配信開始されたシーズン3はシリーズのフィナーレで、そのクライマックスはさながら難解な方程式が解けた瞬間のようであった。だらだらと引っ張らずに3シーズンにまとめたところも好感が持てた。

 また2位に選んだ『カリフェイト』もやはり英語ではなく、北欧スウェーデンで作られたスウェーデン語のドラマである。「北欧ドラマ」と聞くと『ブリッジ』のようなミステリーを想像されるかもしれないが、本作は過激派組織ISの支配下にあるシリアで、ISメンバーの夫に隠れて警察に情報を流すかたわら、母国に戻るための方法を模索するスウェーデン人女性のストーリーと、スウェーデン国内で新たにIS加入への道を突き進む女子高校生のストーリーが並行して描かれるサスペンスドラマ。高い緊張感に溢れたその完成度は非常に高く、本国でも高く評価されている。

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