年末企画:キャサリンの「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 “ドラマらしいドラマ”復権の年に

キャサリンの「2020年ベスト海外ドラマ」

 2つの傑作の終焉とともに今後期待が高まるのがこれから紹介する数作。『SUCCESSION
キング・オブ・メディア』シーズン2はエミー賞も無事受賞し今年断トツの1位。巨大メディア企業を経営するロイ家の確執を描く本作、お金持ち白人の愚かな姿はいつの時代も人気があるトピックで古典的。まさにドラマらしいドラマだった。『ザ・ボーイズ』シーズン2もさすが長年『スーパーナチュラル』を手がけてきたエリック・クリプキが製作総指揮を執っているだけあり、長寿ドラマを目指していそうな世界観の広がりを出し切っている。こういった大味のドラマらしいドラマがポスト『ゲーム・オブ・スローンズ』時代に多様性を見せる中で、低予算ドラマにもキラリと光る原石の出現が。それが本当に嬉しい1年でもあった。『フィール・グッド』シーズン1(Netflix)、『ベビーシッターズ・クラブ』シーズン1(Netflix)はよくぞこの作品に予算を割いてくれたと心躍るくらいに、これまで描かれなかった一面を描いており次シーズンが楽しみだ。

 今年はコロナ禍の影響で数多くのドラマが次シーズン製作打ち切りが発表され、新作の撮影はたびたび中断している現状を間が見ると、コロナ禍の本当の影響が出るのは来年へ持ち越しか。すでに発表されている英語圏メディアの2020年テレビシリーズTop10をみると、日本未上陸の『I May Destroy You(原題)』が軒並みランクイン。一方それ以外のランクイン作品はかなりバラバラで、おそらく要因は動画配信サービスの多様化と配信作品の急激な増加だろう。来年はついにマーベルのドラマが放送開始され、ディズニーは「スター」という新しい動画配信サービスをローンチする。日本でもいったいいくつ加入しなければならないのか……と今以上に悩む時代がやってきそうである。

■キャサリン
Netflix、Amazonプライムビデオ等のストリーミングサービスで最新作を追いかける海外テレビシリーズウォッチャー。webメディアなどで執筆。
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Twitter:https://twitter.com/Hitomi_forward

■作品情報
『キング・オブ・メディア』シーズン2
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