『おちょやん』で千代の“もう一人の母親”に 朝ドラ初出演、篠原涼子への期待

篠原涼子、朝ドラ初出演への期待

 『おちょやん』(NHK総合)第2週目「道頓堀、ええとこや〜」では、奉公に出された主人公の竹井千代(毎田暖乃)の道頓堀での様子が描かれる。そこで千代が足を踏み入れる芝居茶屋「岡安」を取り仕切る女将の岡田シズ役として登場するのが篠原涼子で、本作が朝ドラ初出演となる。

 歌手活動を経て、人気女優としての地位を確立した篠原涼子だが、篠原といえば当初「デキる女上司役」に定評があった。『anego[アネゴ]』(日本テレビ系)では仕事をバリバリとこなす独身アラサーOLを、さらにそこから『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系)では年下男子と恋に落ちるアラフォー独身女性を好演。“大人女性の恋愛×お仕事ドラマ”で主役を飾ることも多く、「理想の上司だと思う女性有名人」ランキングで1位に選ばれたこともあり「ハンサムウーマン」という称号をほしいままにした。

 彼女の代表作の1つで映画化もされた人気シリーズ『アンフェア』(フジテレビ系)での警視庁捜査一課の検挙率ナンバーワン刑事・雪平夏見役、今年続編が放送された『ハケンの品格』(日本テレビ系)でのスーパー派遣社員役や、『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?』(フジテレビ系)でも市議会議員となる主婦役を演じ、強く自立した女性主人公がハマり役だと強く印象付けた。

『人魚の眠る家』(c)2018「人魚の眠る家」 製作委員会

 そんな彼女の近年の新境地が強くたくましい「母親役」だ。この新境地こそが40代の彼女が引き続き映画を中心に主演を張り続けられている要因だと言えるだろう。映画『人魚の眠る家』では、事故で脳死状態となった娘に、最新技術を駆使し生命維持させる禁断の選択をする母親・薫子役を演じた。娘の回復を信じ、すがるような想いで技術を盲信し狂気じみていく母親のギリギリの精神状態と、そんな中にあっても普遍的な“親が子を想う気持ち”を見事なバランスで見せてくれていた。

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(c)2018「SUNNY」製作委員会

 映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』での平凡な専業主婦役に続き、『今日も嫌がらせ弁当』でのシングルマザー役でも主演を務め、反抗期真っ只中の高校生の娘との不器用な日常生活の中に、“どこにでもありふれている、でもとっておきの愛情”をコメディエンヌとしての才も交えながら見せてくれた。“母親”としての顔だけでなく、その中に一個人として、一人の人間としての“自分自身の在り方”を迷いながらも再発見していく過程まで見せられるのが彼女の何よりの強みではないだろうか。それこそ、プライベートで二児の母親としての顔を持ちながらも、女優としても一線をひた走り続ける彼女にしか出せない厚みや説得力、人生経験が自然と滲み出ており、“完璧ではない人間臭さ”を役に投影させられているからなのではないだろうか。

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