理想は海外ドラマとして世界配信? 『鬼滅の刃』実写化の可能性と問題点

『鬼滅の刃』実写化の可能性と問題点

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(以下、『無限列車編』)が空前絶後の大ヒットとなっており、話題は『鬼滅の刃』一色。そんな中、にわかに盛り上がりを見せているのが、「実写化するなら誰が炭治郎を演じるか?」といった今後のメディア展開についてだ。

 すでに『少年ジャンプ』(集英社)での連載が終了していることからも明らかなように『鬼滅の刃』は作者の吾峠呼世晴の意向が強く反映された作品であり、アニメシリーズも原作の良さを再現することを第一に作られている。

 今回の『無限列車編』がうまくいったのも、劇場映画にふさわしいエピソードを映画化したからであり、これが映画ありきで、原作のエピソードを省略したり、逆にオリジナル要素を無理やり加えていたら、うまくいかなかっただろう。おそらく作者もジャンプ編集部もアニメ関係者も、連載と同じように、無駄な引き伸ばしは考えておらず、『無限列車編』以降のアニメシリーズを終わらせることしか今は考えてないだろう。

 終わるべき時にちゃんと終わるというストイックな姿勢こそが『鬼滅の刃』の勝因で、それは作品のテーマともシンクロしている。ここまで作品の世界観と映像プロジェクトの方向性が一貫している作品は近年稀である。

 そのことを踏まえた上で『鬼滅の刃』の実写化の可能性について考えてみたい。

 まず実写化には映画と連続ドラマの方向性があるのだが、映画を中心に進めるのなら、同じジャンプ漫画の実写化である大友啓史監督の『るろうに剣心』と似た展開になるのではないかと思う。

 つまり、最初にキャラクター紹介的な物語を作り、その後、原作のエピソードを順番に作っていくというイメージだ。その際に一番の壁となるのが、出演俳優の問題だろう。

 主人公の竈門炭治郎を筆頭とするメインキャラの年齢は原作を踏まえると10代前半だが、うまくハマる俳優がイメージできない。これは他の鬼殺隊や柱(鬼殺隊の最高位の剣士)についても同じことで、殺陣ができて演技もできる10~20代を探すのはとても難しい。

 ただ敵対する鬼の側、こちらは30代前後の上手い俳優が演じればハマるのではないかと思う。ラスボスにあたる鬼舞辻無惨は菅田将暉か染谷将太、十二鬼月の上弦の壱・黒死牢は山田孝之か小栗旬、上弦の弐・童磨は高橋一生か中村倫也など、アイデアはいくらでも出てくる。いっそのこと炭治郎たちメインキャラクターは、オーディションで無名の新人を選んでもいいかも。

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