坂東龍汰、板垣瑞生、醍醐虎汰朗 作品に溶け込む、期待の若き映画俳優たち

坂東龍汰、板垣瑞生、醍醐虎汰朗 作品に溶け込む、期待の若き映画俳優たち

醍醐虎汰朗ーー『天気の子』からの大躍進

『#ハンド全力』(c)2020「#ハンド全力」製作委員会

 弱冠20歳にして、すでに『天気の子』(2019年)という名刺代わりの出演作を持つ醍醐虎汰朗。爆発的なヒットとともに、世間を感動の渦に巻き込んだあの主人公・帆高の声を務めたのが彼なのだ。まだ二十歳を迎えたばかりの醍醐はここ最近、映画にドラマにと大活躍が続いている。

 今夏は『#ハンド全力』『宇宙でいちばんあかるい屋根』というタイプの異なる2作で存在感を発揮。醍醐が演じたキャラクターもまた、それぞれ大きくタイプが異るものであった。前者では、主人公の幼なじみであり、ハンドボールに全力で打ち込む、どちらかといえばマジメな高校生を。一方の後者では、清原果耶演じるヒロインにちょっかいをかける不良然とした高校生を演じている。

 醍醐が演じた人物を“タイプの大きく異るもの”と記したが、それでいて各作品へのフィット感は非常に高い。自身の演じる役どころにおいて、いったいどの程度までキャラクターを“押し出す”べきか、あるいは“引く”べきか、それが自然と実践できる俳優なのではないだろうか。もちろん、観客の推し量ることのできないレベルで、“計算”して演じているのかもしれない。

 今年は映画だけでなく、坂元裕二の脚本による『スイッチ』(テレビ朝日系)や、『3人のシングルマザー~すてきな人生逆転物語~』(フジテレビ系)などのスペシャルドラマで主要なポジションを担っていることも、彼の今後の俳優人生において大きいだろう。声の演技が優れているのは『天気の子』で証明しているとおりだ。醍醐の姿を目にする機会はますます増えていくことだろう。

 ここに挙げた3人に共通するのは、いい意味での“顔の安定のしなささ”ではないかと思う。エンドロールで彼らが出演していたと気がつく方も多いのではないだろうか。彼らは俳優なのだから、当然その見た目の変化にも力を入れることだろうし、もちろんまだ彼らを目にする機会が比較的に少ないということもその一因ではあるだろう。だが、演じる人格ごとに、“作品世界に溶け込んでいる”とも言えるのではないかとも思う。作品ごとにおける彼らの顔は、まるで違うのだ。こう感じているのは筆者だけだろうか。いまは彼らにとって、得意な役どころを探したり、いろいろと試す時期でもあるはず。これからバイプレイヤーとなるか、あるいは作品を牽引する主演俳優として育っていくのか。いずれにせよ、今後の日本映画界に欠かせない存在となっていくことは間違いない。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『スパイの妻』
新宿ピカデリーほか全国公開中
出演:蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史ほか
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
音楽:長岡亮介
制作著作:NHK、NHK エンタープライズ、Incline,、C&I エンタテインメント
制作プロダクション:C&I エンタテインメント
配給:ビターズ・エンド
配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ
2020/日本/115分/1:1.85
公式サイト:wos.bitters.co.jp

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