唐沢寿明が立ち向かう見えない敵 『24 JAPAN』サスペンス要素を強めた“翻案”に

『24 JAPAN』唐沢寿明が立ち向かう敵

 ニューヨーク発羽田行きの旅客機が千葉沖で墜落。衝撃の第1話で幕を開けた『24 JAPAN』(テレビ朝日系)第2話は、総選挙当日の午前1時から2時を描く。

 朝倉麗(仲間由紀恵)の暗殺予告と同時に起きた墜落が事故によるものではないと直感した獅堂(唐沢寿明)は、搭乗者の洗い出しを南条(池内博之)に依頼。南条は獅堂の鬼束(佐野史郎)に対する行動を追及するが、伊月(栗山千明)の機転で獅堂は窮地を脱する。「下手な作り話だ」と言う獅堂に、伊月は「真実よりはましだわ」と切り返す。

 ストーリーが本格的に動き出した第2話。獅堂は郷中本部長(村上弘明)の連絡を受けて現場に急行。獅堂の妻・六花(木村多江)は寿々(柳美稀)の父である函崎(神尾佑)と、美有(桜田ひより)の行方を求めて夜の街を探索する。

 オリジナルの『24 -TWENTY FOUR-』を見慣れた人には少し時間が必要かもしれないが、ディテールに注目していくと『24 JAPAN』ならではの面白さが見えてくる。獅堂が郷中の救出に向かうシーン。場所もロスの夜景をバックにした屋外から、建物内の駐車場に変わる。バーカウンターを挟んでの対峙で、アルコールに着火するカットは日本版オリジナルの演出だ。どこから銃弾が飛んでくるかわからない暗闇で、サイレンサー付きの拳銃を撃ち合う場面は、恐怖感を増幅させ、見えない敵との戦いを強く印象付ける。

 海外特有の設定をそのまま持ってくるのではなく、リアリティの「翻案」によって現在の日本でしか作りえない作品にする気概が、随所から伝わってくる。同じように、CTUのイメージも煌々と灯りが点る不夜城から、テロ対策に特化した影の機関らしい黒を基調としたトーンに変更。全体的に派手さやスリルは弱まったが、家具店の店長が殺されるカットなどサスペンス要素が強まった。

 第2話では登場人物のキャラも見えてきた。今週の南条は獅堂への嫉妬が爆発。いくら恋人とは言え、職場でセクハラまがいの言動を繰り返す南条には公私混同の概念が欠けているとしか言いようがない。伊月に「ここは軍隊と同じ。上官の私のことを詮索しないで」とたしなめられ、素直に引き下がるギャップも含めて、ネチネチ男トニーの再現度は高いと確信した。

 伊月を演じる栗山千明もミステリアスさと妖艶さを全開にしてきた。元恋人と現恋人の板挟みになりながら、テロ対策の業務を淡々とこなす伊月はできる女。射貫くような目力は圧倒的で、なだめ行動など一瞬で見抜いてしまいそうだ。獅堂の信任厚い伊月は、第2話のラストで衝撃の事実が発覚するのだが……。オリジナル版をご覧になった方は、この時点で伊月が何を考えていたか想像してもいいだろう。

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