『半沢直樹』が問いかけたバンカーとしての正義 最終話は7年越しの大団円へ

『半沢直樹』最終話は7年越しの大団円へ

 「3人まとめて1000倍返しだ!」と箕部(柄本明)と中野渡(北大路欣也)、大和田(香川照之)に宣言した半沢(堺雅人)だったが、内心は動揺を抑えきれなかった。もっとも信頼していた頭取に裏切られたという思い。それを救ったのは若き盟友たちだった。「あなたが言ったんですよ、『戦え』って。あれは嘘だったんですか?」。森山(賀来賢人)と瀬名(尾上松也)との掛かり稽古で、半沢は消えかけていた闘志を取り戻す。

 『半沢直樹』(TBS系)最終話は “完結”という語がふさわしい内容。前話ラストの気迫みなぎるテンションから、壮絶なバトルが繰り広げられることも予想できたが、そこに至る過程はむしろ淡々としたものだった。

 中野渡が箕部に渡した書類には、伊勢志摩ステートから箕部へ資金が還流した証拠は含まれておらず、敵の懐に飛び込む中野渡の計略だった。逆転の糸口を探す半沢は、笠松(児嶋一哉)を通じて白井(江口のりこ)に箕部の不正を知らせる。ここで大きな仕事をしたのが半沢の妻・花(上戸彩)だった。第6話で、元人気キャスターである白井のサインを半沢にリクエストしていた花。ドラマ後半ではやや影が薄かったが、社宅を訪れた白井に桔梗の花を贈り、「この国のことをお願いします」と声をかける。桔梗の花言葉は「誠実」で、白井に政治家を志した原点を思い起こさせた。

 普段と違う夫の姿を見て、花は「銀行員だけが仕事じゃない」「必死に尽くしてきた銀行にそれもで要らないって言われるなら、こっちから辞表叩きつけてやんなさいよ」「クソ上司なんかぶっ飛ばせ!」と半沢の思いを代弁。あらためて、最後に信じられるのは家族であることを伝えていた。

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