『おじカワ』に詰まった“好き”を大事にすること 眞島秀和×今井翼×桐山漣の不器用さも癒やしに
大人になると「公」の立場を離れて他者と心を通わせること、友人になることは容易でない。ましてや小路は自分の可愛いものラブな趣味をどこか後ろめたく思っているし、鳴戸は他者に本心を見せたら負けだと思っているフシがある。第2話で小路がケンタに送るLINEのスタンプ柄で悩むところや既読スルーを気にする描写、首がもげるほど頷いてしまった。仕事上のやり取りなら話は簡単なのだ。そうではない「私」の部分に踏み込み踏み込まれることに大人はなかなか無邪気になれない。相手に引かれたり否定されたりして傷つくのが怖いからだ。
おじさんたちが人間関係で小さくつまずきながら、カワイイものを全身全霊で愛でる本作。その肝は第1話のラストで小路と甥の真澄(藤原大祐)がスイカを食べながら交わした以下のせりふに集約されているのではないだろうか。
小路「人の“好き”を大事にするのは難しいからね」
真澄「そうやってみんなの“好き”を大事にすれば、僕たちもっとハッピーだね」
私たちは自分の“好き”を大切にできても、他者の“好き”を尊重することが苦手だ。つい心のどこかで目の前の人が大事にしている“好き”をバカにしたり否定したりしてしまう。誰の心にもその人だけの“パグ太郎”が存在するはずなのに。
今期1番の癒しドラマとして推したい『おじさんはカワイイものがお好き。』。願わくばこのままおじさんたちに恋愛モードを持ち込まず、眞島秀和、今井翼、桐山漣の3人がカワイイものに翻弄されながら、わちゃわちゃする様子のまま完走してほしい。
そしてパグ太郎! 最初は「んー、いまいち」とか思ってごめん! 今は小路さんと同じモードで君のことを愛おしく思っているよ。
■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p
■放送情報
プラチナイト 木曜ドラマF『おじさんはカワイイものがお好き。』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週木曜23:59〜0:54放送
原作: ツトム『おじさんはカワイイものがお好き。』(『COMICポラリス』連載中 既刊1~4巻(フレックスコミックス刊))
出演:眞島秀和、今井翼、桐山漣、藤原大祐、富田望生、愛加あゆ、水間ロン、佐藤正和
脚本:坪田文
監督:熊坂出
音楽:眞鍋昭大
チーフプロデューサー:前西和成(読売テレビ)
プロデューサー:小島祥子(読売テレビ)、熊谷理恵(大映テレビ)
制作プロダクション:大映テレビ
制作協力:大映テレビ
制作著作:読売テレビ
(c)読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/ojikawa/