大森南朋、松重豊や光石研らとは一味違う“癒し系おじさん”俳優に 「何か裏がありそう」との声も

大森南朋、“癒し系おじさん”俳優の新星に

 この春以降の連続ドラマは、コロナ禍の影響により、スタートも終了時期もバラバラで、もはや何月期と括れない状態。だが、そうした苦境の中でも生み出される新作ドラマの放送は単純に嬉しく、視聴者を楽しませてくれている。7月7日から始まったハートフルラブコメディ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)も好評だ。30歳を超えてますます魅力的な多部未華子演じる肩ひじ張った主人公・相原メイに共感する人も多いが、メイと同様、大森南朋演じる家政夫のナギサさんに癒される人が続出している。

 しかし大森といえば、父親(麿赤兒)ほどではないにしろ、コワモテな風貌と雰囲気を持つ俳優。そんな大森が“癒し系おじさん”に? だが、思えばこれまでにも遠藤憲一や松重豊、光石研ら、“癒し系おじさん”としての人気も獲得したアウトロー系俳優はいた。

 そんな先輩たちに少し目を向けると、182センチの長身に眼光鋭い遠藤憲一は、『実録・北海道やくざ戦争 北海の挽歌』など、いわゆるVシネマでヤクザ役として鳴らしてきたが、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』や菅田将暉とW主演を務めた『民王』(ともにテレビ朝日系)あたりから、見た目とのギャップを見せて人気に。現在ではバラエティ番組などで見せる素顔も手伝い、すっかり可愛らしいおじさんとして認知されているが、完全に“癒し系”に振り切れることはなく、硬軟をバランスよく生かしている。

 現在、斜め上のキャスティングで驚かせた連続ミニドラマ『きょうの猫村さん』(テレビ東京系)で猫の家政婦役を、どこか楚々とした雰囲気で好演中の松重豊も、多くのVシネマで活躍してきた。遠藤よりさらに長身の公称188センチで、『地獄の警備員』での殺人鬼など、コワモテな個性を生かした役を演じてきたが、最近ではもともと持っていた飄々とした雰囲気を生かし、人気シリーズ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)など当たり役を得て独自の路線を進んでいる。

『きょうの猫村さん』(c)テレビ東京

 16歳のときに『博多っ子純情』で主演デビューを果たして以降、長く活躍し続けている光石研も、一見普通のおじさんに見えて、癖のある役を演じさせると抜群に光る名優だ。今年は朝ドラ『エール』(NHK総合)での温かな父親役で印象を残しているが、公開待機中の映画『青くて痛くて脆い』では、『エール』であれほど関係性のいい親子を演じていた森七菜と、教師と生徒役に扮し、たまらなく怖い空気を醸し出しており、あまりの違いに驚かされる。ちなみに光石は『私の家政夫ナギサ』さんの第4話からメイの父親役として登場。“癒し系おじさん”俳優の先輩として存在感を見せてくれるはず。

 ほかにも3人がともに出演していたシリーズ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)で共演した大杉漣も、アウトロー系を基盤にしながら癒し系としても人気を得ていた名優。両極端なイメージを打ち出して、双方の魅力が支持されるのは、確かな実力あってこそといえる。

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