『MIU404』ラスト2話は菅田将暉が持っていく!?　伊吹と志摩は「最悪の事態を回避」できるのか

　残すところあと2回。8月21日に放送された『MIU404』（TBS系）第9話は、暴力団とつながっている謎の男エトリ（水橋研二）が、第4機動捜査隊の隊長・桔梗（麻生久美子）のかくまっていた告発者・麦（黒川智花）を捕らえ、井戸の底に沈めるというハードな内容だった。しかし、機捜404号の伊吹（綾野剛）と志摩（星野源）は、麦と失踪していた高校生・成川（鈴鹿央士）が命を落とすギリギリ手前のタイミングで救出に成功。第8話は、伊吹の恩師“ガマさん”（小日向文世）が報復殺人を犯すのを止められなかったという苦い結末だったので、今回は「間に合う」と願うように唱えながらエトリを追った2人の「間に合った」場面にホッとした視聴者も多かっただろう。

　しかし、ここでめでたしめでたしと終わらないのが野木亜紀子脚本によるこのドラマ。エトリを逮捕しこれで麦や成川の身も安泰かと思いきや、謎の男・久住（菅田将暉）が警察車両に乗ったエトリを攻撃。ドローンを使ったハイテクな殺害方法と、警察も暴力団をも恐れない大胆なやり口に、底知れない恐ろしさを感じさせて終わった。この久住、いったい何をしたいのだろうか？

　これまでを振り返ってみると、やはり脚本の構成がみごと。第1話の伊吹と志摩のバディ結成から、しだいに2人の経歴が分かってきて、前半は相棒に死なれた過去を持つ志摩の方にフォーカスが当てられていた。第6話で志摩の元相棒が死んだのは事故であることが明かされ、それを悔やむ志摩にとって救いとなる新事実を伊吹が発見。そこでいったん志摩の物語が落ち着いて、第7話では2人がニャーニャーとネコ語を話しながら指名手配犯を追う軽快な刑事ドラマが展開し、小休止といったところに。そして、第8話からは伊吹の物語が展開している。彼の敬愛する“ガマさん”が「刑事だった自分を捨てて」まで罪を犯し、伊吹はこれまで信じていたものが全て覆るような絶望を抱えてしまう。第9話の時点でまだ伊吹は立ち直ってはいないが、志摩はバディ結成1日目に伊吹が言った「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に止められるんだよ」という言葉を振り返り、こう言って力づけた。

「この野生のバカと走ったら、取り戻せるかもしれない。過去に助けそこなった人の分まで、誰かの未来をいい方にスイッチさせて救えるかもしれない」

　その言葉のとおり、奔走して麦と成川を救った2人。第3話で高校生だった成川を取り逃がし、失踪させてしまった機捜の若手・九重（岡田健史）も成川を井戸の底から引き揚げ、最悪の事態を避けることができた。桔梗もかつて情報を提供してくれたために狙われることになった麦を救うという責任を果たすことができた。これまでの伏線が気持ちいいぐらいに次々と回収され、物語はここでひと段落というところ。

　しかし、今後、4機捜の前に立ちはだかりラスボスとなるであろう久住は、ドローンから爆弾を投げるような手法を使い、「間に合う」隙を与えてくれない相手だ。いくら車で都心を走り回り、24時間体制で事件現場に駆け付けようにも、捕らえることは難しく、伊吹の足の速さや志摩の頭の回転の速さといった昔ながらの刑事の武器では太刀打ちできそうにない。

　久住という名前も偽名らしく、これまで面倒を見て違法ドラッグを売らせていた成川に助けを求められたときも「（名前の意味は）使えんクズは見捨てるのクズミや」と冷酷な言葉を吐いていた。ただ、成川は久住の顔を知っているので、生き残った証人として、久住が別の名前を使ったとしても彼を見つけられるかもしれない。