応援団の熱狂をもう一度! 再放送『エール』橋本淳と三浦貴大の応援合戦を見逃すな

再放送『エール』で応援団の熱狂をもう一度!

応援団に監禁される!? 早稲田大学の事務局長演じる徳井優

 応援歌づくりが難航する原因は、曲を作れずに苦しむ裕一だけではない。応援部にやってきた早稲田大学の事務局長は「曲は我々が選んだ人に作ってもらいます」と発言し、若手の新人作曲家が応援歌を作曲することに難色を示す。

 早稲田大学の事務局長を演じるのは、徳井優。徳井は、1998年に放送された『天うらら』から『ゲゲゲの女房』や『ごちそうさん』など、本作に至るまでコンスタントに朝ドラに出演し続けている。

 本作では、応援団の応援歌に対する思いを「個人の主観など関係ない」とバッサリ切り捨て、応援歌作りの進展に不穏な空気を漂わせる役割を担っている。しかし彼は、裕一が見事『紺碧の空』を書き上げた後、応援団に監禁されてしまう。そのシーンでの、徳井の一貫した演技に注目してほしい。応援団の行動は突飛なため、コミカルに描かれることも多いのだが、徳井は事務局長の学生たちに対して譲歩しない姿勢を決して崩さずに演技していた。事務局長は事務局長なりに早稲田大学のことを考え行動していたことがわかる。

 とはいえ、小山田(志村けん)に対して、情けない声をあげながら頭を下げるシーンは面白い。学生たちと小山田への態度があからさまに違うことで事務局長のキャラクター像が浮き彫りになった。また学生たちに胴上げされる裕一と事務局長に頭を下げられる小山田という重要な対比にも結びついている。

 今週おすすめしたいシーンは、裕一が団長・田中の思いに触れ、大切なことを知るシーン。田中の応援歌への思いは、裕一に音楽で励まされた記憶を思い出させる。運動会でビリだった裕一を励ましたハーモニカの音色。曲作りに大切なことを思い出し、一気に『紺碧の空』を書きあげるシーンは必見だ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
※6月29日より第1回から再放送中
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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