『MIU404』視聴者を虜にする第4機捜の“危うさ” 不吉に重なる成川と九重
第6話において、ピタゴラ装置から零れ落ちてしまった球のショットと倒れている香坂のショットが重ねられた。そこに、第3話において、1人「取り逃されてしまった」成川(鈴鹿央士)が夜の都会の喧騒の中を1人佇む姿に、九重(岡田健史)が書類をテーブルに置いた弾みに落としてしまったピタゴラ装置の球が床に落ちる様が重ねられていたことが不吉に重なる。さらに、香坂の最期の場所である非常階段と、成川が菅田演じる男と出会った非常階段と思しき場所、場所は違えど奇妙なリンクが心をざわつかせる。
キュートな博多弁も加わり、クールなエリートの裏に隠された幼さが、伊吹たちに引っ掻き回されて露わになればなるほど愛されキャラになっていく岡田健史演じる九重に、そんな影がどうにも付きまとう。彼もまた、どちらに転ぶかわからない危うさがある。
でも、大切なのは、その時、道を間違えそうな人の隣にいる誰かが、軌道修正をするスイッチになれるかということだ。伊吹にとっての蒲郡、志摩にとっての伊吹がそうであったように。九重には、橋本じゅん演じる気のいい相棒・陣馬がいる。「間違いも失敗も言えるようになれ。ぱーんと、開けっぴろげによ」と豪快に笑い飛ばしてくれる、気のいい相棒が。
なんといっても彼らには相棒がいるのだ。志摩には伊吹がいて、伊吹には志摩がいる。九重には陣馬がいる。大丈夫だ。そう思いながら、なんだか危うい、彼らを見つめている。
■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住。学生時代の寺山修司研究がきっかけで、休日はテレビドラマに映画、本に溺れ、ライター業に勤しむ。日中は書店員。「映画芸術」などに寄稿。
■放送情報
金曜ドラマ『MIU404』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、渡邊圭祐、金井勇太、生瀬勝久、麻生久美子
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
プロデュース:新井順子
音楽:得田真裕
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/MIU404_TBS/