趣里、『私の家政夫ナギサさん』で欠かせない立ち位置に たくましく生きる唯の姿

『わたナギ』趣里が貫く、唯の強い生き方

「お姉ちゃんは母の期待を一身に背負ってるんです。私の代わりに」

 メイ(多部未華子)の元に家政夫としてやってきたナギサさん(大森南朋)との心の交流を描きつつ、母娘との確執にもフォーカスしている『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)で、こんなセリフが飛び出した。これは、メイの妹の唯(趣里)が、ナギサさんにメイのことを説明するために放った言葉だ。本作は主人公のメイがナギサさんのサポートのもとで、恋も仕事も家族関係さえも全力投球する物語だが、その裏ではメイと同じように母との関係に悩む唯の姿がある。親の期待や、姉妹で比較されることなど、家族関係の悩みの中でも尽きないテーマに、唯と、唯を演じる趣里は立ち向かう。

 俳優の水谷豊と伊藤蘭の娘であり、10代のほとんどをバレエへの情熱に注いだ趣里。怪我をきっかけにバレエの道を断念してからは女優として活動し、コツコツとキャリアを積み上げていた。デビューは『3年B組金八先生ファイナル~ 最後の贈る言葉 4時間SP』(TBS系)での柴崎茜役。定年目前の金八先生に恋をする女子中学生というかなり難しい役どころを演じた。2018年には、『ブラックペアン』(TBS系)で二宮和也演じる天才外科医の渡海征司郎が可愛がる看護師・猫田真里を演じる。渡海先生からの“猫ちゃん”呼びの愛称に相応しいミステリアスでコケティッシュな魅力を放った。

 趣里の強みは、一癖も二癖もあるような役をさらりとこなせてしまう点だろう。インパクトのある役で一気に印象付けるというよりかは、ジワジワと引き込まれていくような蠱惑的な魅力のある女優である。

 今回、『私の家政夫ナギサさん』では子持ちの主婦で姉思いの穏やかな性格の女性を演じ、上記の趣里のイメージとはまた違った顔を見せた。唯はナギサさんに「母には勘当されて、もう3年も会ってないんですけどね。でも私は結婚して子供ができて、手料理のあったかさとか家族とホッとする時間があるとか、そういう普通の幸せを感じることができたから、お姉ちゃんにも一度、そういうのを味わってもらいたいと思ったんです」と話し、母との確執を抱えつつも、憎しみや苦しさで立ち止まってしまうような人物ではないことを窺わせる。まさに自分の心と折り合いをつけながら歩む、達観した感性を持つ役どころだ。また、メイとナギサさんとの関係をもサポートする唯は、本作にとって欠かせない立ち位置にいる。

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