『ハケンの品格』で描かれた吉谷彩子と山本舞香のセクハラ問題 攻めた時事ネタも

『ハケンの品格』攻めた時事ネタも炸裂

 セクハラ被害を受け、派遣という立場ゆえに泣き寝入りしようとしていた亜紀は、春子にアドバイスを乞うなど自身の在り方を考え直すきっかけにもなる。これは前作での森美雪(加藤あい)との関係を彷彿とさせた。一方、小夏は就職活動に失敗し、派遣社員になったという背景がある。亜紀が受けていたセクハラを本人が望んでいないのに匿名で告発してしまう、会話が終わっても電話を切らないなど社会経験不足が垣間見えるキャラクターでもある。

 どんなに苦しんでも契約更新を続けて派遣として会社に残りたい亜紀と対照的に、曲がったことが嫌いで常識も足りない小夏。特に吉谷が演じる亜紀は、小夏や新入社員の裕太郎、貴士らと違い派遣社員として5年目になる。派遣の世界の苦労を知った上でなかなか這い上がれない社会の構造の中でもがく様子をリアルに表現した。

 また、春子のクセの強いキャラクターに対して新鮮なリアクションを見せる宇野(塚地武雅)の存在も、本作を盛り上げる要素となっている。初期の頃の東海林を思わせる反応に懐かしさを覚えつつ、里中や浅野が春子の扱いに慣れている様子との対比が強調され、つい笑いを誘う。

 さっそく、セクハラ事件の顛末を社長の宮部(伊東四朗)に報告した里中だが、宮部は早くも春子の存在を快く思っていない様子。今後、春子は無事にS&Fで活躍できるのだろうか。しっかり見届けたい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『ハケンの品格』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:篠原涼子、小泉孝太郎、勝地涼、杉野遥亮、吉谷彩子、山本舞香、中村海人(Travis Japan)、上地雄輔、塚地武雅(ドランクドラゴン)、大泉洋(特別出演)、伊東四朗
脚本:中園ミホほか
演出:佐藤東弥、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、山口雅俊、秋元孝之
チーフプロデューサー:西憲彦
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ

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