伊藤沙莉の共感できるヒロインが成功の要因 『いいね!光源氏くん』に詰まったラブコメのセオリー

伊藤沙莉の共感できるヒロインが成功の要因 『いいね!光源氏くん』に詰まったラブコメのセオリー

 現在、NHKのよるドラ枠で放送中の『いいね!光源氏くん』は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で放送中止や延期の作品が多い中、事前収録で最後まで観ることができる数少ない作品だ。

 この作品は、あの誰もが知る『源氏物語』の光源氏(千葉雄大)が、突然、現代の普通のOLの沙織(伊藤沙莉)のもとに現れたことから始まる大胆な設定の物語。あれやこれやと、ラブコメディのセオリーが詰まっている。

 ラブコメディのお約束として一番大きいのが「ひょんなきっかけで男女が同居する」というものではないだろうか。日本に限らず、台湾や韓国でも幾度となくドラマ化されてきた『イタズラなKiss』や、木村拓哉と山口智子の『ロングバケーション』(フジテレビ系)、そして『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や、世に“壁ドン”ブームを巻き起こすきっかけとなった『L・DK』、昨今話題のNetflix韓国ドラマ『愛の不時着』に至るまで、幾度となく使われてきた設定だ。

 今回の場合は、主人公の沙織が部屋の窓にバリで購入したという新たな簾とお香をセットしたところ、その窓辺に光源氏が迷い込んでくる。

 「ひょんなきっかけで男女が同居する」と、最初はなんとも思っていなかった2人が、“仕方なく”同居しているうちに、お互いの良いところを知ることになったり、また物理的に近い距離にいるだけに、ドギマギする胸キュンなシチュエーションになりやすい。

 『いいね!光源氏くん』の場合は、同居したのが、誰もが知るあの光源氏だけに、部屋に現れた瞬間から、沙織を抱きしめたりと、沙織をドギマギさせる。

 もう一つ、ラブコメで愛される設定に、「タイムスリップする」というものもある。こちらは、最近、NHKで再放送中の『アシガール』や、本作との共通することの多い韓国ドラマ『屋根部屋のプリンス』など、たくさん存在する。韓国では一時期、タイムスリップものが続々と作られたほどである。また、日本の少女漫画でもテッパンの設定で、まだまだ映像化されてないものも存在しているから、今後もドラマや映画の題材となる可能性もあるだろう。

 「タイムスリップ」ものがなぜラブコメディに多くなるかというと、男女のどちらかがタイムスリップすると、時代によるギャップを体験することとなり、ふたりの間にハチャメチャな出来事が起こりやすく、その出来事に立ち向かう中で、互いの理解を深めることになるからである。

 今回の場合は、タイムスリップしてくるのが、平安貴族であるために、雅すぎてコミカルなシーンも自ずと多くなる。光くんは、少しスマホを使っただけでも、疲れて寝てしまったり、走ったこともない。また、何か感情が動かさえると、すぐに和歌を詠むというのもクスっと笑わされてしまい、ヒロインでなくとも、光くんに惹かれていくこととなりやすい。

 また、ラブコメに欠かせないのが、ライバルのイケメンキャラクターの存在だろう。昨今のドラマでは、直接、恋に関係せずとも、複数人の多様なイケメンキャラクターが登場する。これは古くは『キャンディ・キャンディ』から、4人のイケメンが登場するという“発明”をアジア中に知らしめた『花より男子』に至るまで、どんな作品にも登場すると言っても過言ではないだろう。

 本作では、『源氏物語』の中にも登場する光の義兄の中将(桐山漣)や、その中将を家に住まわせてくれるホストのカイン(神尾楓珠)などがそれにあたる。

 中将は、おっとりしていてちょっととぼけたところのある光とは違い、どこかミステリアスな魅力を放っているし、カインも、現代人のイケメンキャラクターで、ときに沙織の良さをごく自然に褒めてくれるような優しさがある。

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