岸井ゆきの、『浦安鉄筋家族』でコメディエンヌに開眼? 濃すぎるキャストとのやりとりに注目

『浦安鉄筋家族』で岸井ゆきのはどう輝く?

 もともと10年ほど前からドラマや映画の端役、さらには舞台劇など様々なフィールドで着実にキャリアを積み上げてきた岸井。公式プロフィールを見ると、身長148.5cmと小柄であるが、映像作品で彼女の姿を見ると個性の強さからくる圧倒的なシーンスティーラーとしてのパワフルさがそれをカバーしているようにも映り、まったく小柄な印象を受けないというのが正直なところだ。たとえば2016年に放送されたドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)は代表的な例で、彼女が演じたのは松本潤演じる主人公に想いを寄せる売れないシンガーソングライター。毎週のようにドラマのギャグパートとしての色が強い居酒屋のシーンで登場し、空気の読めないキャラクター性で場をかっさらっていくのである。

 そうした限られたシチュエーション下でのコメディ性の強いシーンというのは、いかにインパクトを残すかという瞬発力が求められるものだ。そうした点で今回の『浦安鉄筋家族』も、そのある種舞台演劇ライクなシチュエーションと、共演者たちのこれでもかと言わんばかりのインパクト合戦が軸となっているだけに、現時点での岸井のコメディ適性を試す格好の舞台といえるだろう。しかも岸井自身『前田建設ファンタジー営業部』ですでにヨーロッパ企画作品のコメディを経験しているのも強みだ。今週放送される第3話(3発目)では彼女の演じる桜と、染谷の花丸木の物語がフィーチャーされるだけに、とくに楽しみなエピソードとなりそうな予感がただよう。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
ドラマ24『浦安鉄筋家族』
テレビ東京系にて、毎週金曜深夜0:12〜放送
※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0:12〜放送
地上波放送終了後、動画配信サービス『ひかりTV』『Paravi』で配信
出演:佐藤二朗、水野美紀、岸井ゆきの、本多力、斎藤汰鷹、キノスケ、坂田利夫、染谷将太、大東駿介、松井玲奈、宍戸美和公、滝藤賢一
ゲスト:広瀬アリス、MEGUMI、バッファロー吾郎A、ぺこぱ・シュウペイ
オープニング・テーマ:サンボマスター「忘れないで 忘れないで」(ビクターエンタテインメント / Getting Better)
エンディング・テーマ:BiSH「ぶち抜け」(avex trax)
原作:浜岡賢次『浦安鉄筋家族』(少年チャンピオン・コミックス)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:藤田絵里花(テレビ東京)、神山明子
監督:瑠東東一郎、吉原通克、諏訪雅、松下敏也
脚本:上田誠、諏訪雅、酒井善史(ヨーロッパ企画)
制作:テレビ東京、メディアプルポ
製作著作:「浦安鉄筋家族」製作委員会
(c)浜岡賢次(秋田書店)1993・(c)「浦安鉄筋家族」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/urayasu/
公式Twitter:@tx_urayasu

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