大東駿介、映画・ドラマに欠かせない俳優に 『いだてん』水泳選手から『浦鉄』春巻龍の振り幅

大東駿介、映画・ドラマに欠かせない俳優に 『いだてん』水泳選手から『浦鉄』春巻龍の振り幅

 昨今、テレビをつけていると、大東駿介の姿を見ることが多い。2019年以降の出演作で言うと『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』『マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜』『伝説のお母さん』(いずれもNHK総合)などがある。さらに、今年4月10日から放送開始されたドラマ『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)では、原作でも人気の小学校教師・春巻龍を演じる。ビジュアルが発表されるやいなや、その“完コピ”ぶりに絶賛の声があがっていた。デビュー当時は、群像劇の中の“イケメン”という役割も担っていた彼は、今や次なるステージに立っているようにも思える。昨今の活躍に注目して振り返ってみたい。

『浦安鉄筋家族』で春巻龍を演じる大東駿介 (c)浜岡賢次(秋田書店)1993・(c)「浦安鉄筋家族」製作委員会

 近年で最初に思い出されるのが、現在、NHK BSプレミアムで再放送中の大河ドラマ『いだてん』だ。この作品の中で彼は平泳ぎの金メダリスト鶴田義行役を演じた。聞くところによると、カナヅチであったところから特訓を重ね、また体重を10キロ増やして挑んだとのこと。

 鶴田はアムステルダムのオリンピックで金メダルをとった選手で、世界記録保持者という役。焼けた肌に白い歯で豪快にニカっと笑う姿に安心感があり、女子水泳の前畑秀子選手(上白石萌歌)も鶴田を見てポッとなってしまうシーンがあるような、おおらかな魅力のある人物である。

 しかしその鶴田は、次のロサンジェルスオリンピックの選考の中では、若手においあげられ、一時は引退して鉄道会社に就職しようと決める。しかし、若い選手のモチベーションが下がっているため、“練習台”として田畑(阿部サダヲ)に呼び戻されるのだ。

 一方、鶴田と同じくクロールの選手である高石勝男(斎藤工)もまた、若手に追い上げられていた。鶴田も高石も、ロサンゼルスオリンピックの現地練習に参加するのだが、ふたりともに、選手としてのプライドを傷つけられていた。特に、スター選手であった高石は、ノンプレイングキャプテンという立場に戸惑いを持っていた。

 ある夜、そんな2人が宿舎を抜け出し密会する。選手としてのピークを過ぎたということをひしひしと感じている二人が、戸惑いながらも次に進むために、それぞれの思いを語りあうシーンは、今見ても『いだてん』の胸のアツくなる場面の一つである。斎藤工と大東駿介という、若手スターからスタートし、俳優として次の段階に進む中にいる2人が演じているからこそ、こちらにもより響くものがある。その様子は第29回に描かれているので、再放送の際にはぜひ観てほしい回である。

 大東駿介は、NHKのドラマのもはや常連ともなりつつある。2019年1月から出演したよるドラ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』は、ゾンビが現れた地方都市を舞台に描かれる、コミカルな社会派ブラックコメディだ。

 その中で大東は主人公の小池みずほ(石橋菜津美)の夫・智明を演じているが、現在はその夫婦関係は冷めきっている。そして、みずほの高校時代からの同級生である近藤美佐江(瀧内公美)と不倫していて、みずほに離婚を迫っている。しかしそんな中で、ゾンビに噛まれ、徐々に智明自身もゾンビ化していく。

 大東は、コミカルな作品ではとことんコミカルだ。特にゾンビとなってしまった智明の後ろにまだゾンビ化していないものたちが隠れ、二人羽織のような状態で街に出るシーンがあるのだが、なぜか智明は他のゾンビから大人気で人が集まってきてしまう。このシーンには、クスっと笑わせられた。

 本作の主人公は、何事にも夢中になれない、空虚な自分は何だろうと考えているような役で、そんな彼女に対して、ゾンビ化していく中で智明が、「俺に対して依存もしない、なんの執着もしない、お前といるとさなんか……妙に寂しくなるんだよ」と弱音を吐くシーンは、妙に印象に残っている。

 ついこの間まで放送されていた『伝説のお母さん』も、『ゾンみつ』と同じくNHKのよるドラで放送されたコメディ作である。

『伝説のお母さん』(c)NHK

 RPGの世界を舞台にしつつも、その中に登場するのは、待機児童問題などの子育てに関するものがほとんどで、気軽な気持ちで見始めると、次々と社会風刺が出てくるという、これまでにない独特の面白さのある作品だった。

 この中で大東は伝説のパーティーの一人・勇者マサムネを演じた。ヒロインを含めた伝説のパーティが再結成される際には、マサムネはスピーチを任されるのだが、そのスピーチでひとりノリツッコミしたり、妙に感動的にあおったり、なぜかCDシングルを発売していて歌いだしたりと、ほかのパーティー(特にMEGUMI演じるベラ)からはウザがられている面もあって、そこが笑えるシーンともなっている。

 しかし、実は子育てに関してはフラットな考えの持ち主であったり、そうかと思えば敵対する魔王に揺さぶられて裏切ったりと、ふわふわしたところもあるのだが、底抜けに明るく、細かいことを気にしない大らかさからか、なぜか憎めないキャラクターであった。「憎めない」というのは、大東駿介の今の持ち味のひとつかもしれない。

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