語り継がれる“男性バディ”の条件は? 星野源×綾野剛、中島健人×平野紫耀ら新ドラマへの期待
新型コロナウイルス感染防止のため、4月期主要ドラマの多くが延期となっている。新しい連続ドラマの始まりを待ちかねるこの時期がいつまで続くのかと思うと、ドラマファンとしては心が沈む。だが、楽しみに待つ時間が増えるということは悪くない。今期は実に魅力的なキャストのドラマばかりだ。待つ時間が多ければ多いほど、最高なドラマが始まった時の喜びも、よりいっそう高まるというものだ。
4月ドラマの特徴として挙げられるのは、『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)や『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)、『ハケンの品格』(日本テレビ系)などの続編ものの多さと、男性バディものの多さだろう。今回は、魅力的な男性バディものドラマ4本を取り上げる。
古くは舘ひろし×柴田恭平『あぶない刑事』(日本テレビ系)から、バディの変化と共に進化を遂げ続ける水谷豊の『相棒』(テレビ朝日系)、松田龍平×瑛太(現・永山瑛太)の『まほろ駅前多田便利軒』(テレビ東京系)と、伝説の男性バディは様々だ。
面白い男性バディものの条件として、4つの点があげられる。まず2人の役者自身が単体として魅力的な存在であること。次に、互いの強烈な個性を潰しあわない絶妙なバランスを保っていること。スマートでかっこいいこと。そしてなにより、2人のやりとりがチャーミングであること。そういった条件を満たした2人が、語り継がれるバディと言われるのではないか。
今期は『MIU404』(TBS系)の綾野剛×星野源、『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)の玉木宏×高橋一生、『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)の中島健人(Sexy Zone)×平野紫耀(King & Prince)、そして続編ではあるが『SUITS/スーツ2』の織田裕二×中島裕翔(Hey! Say! JUMP)と、実にバラエティ豊かなバディが揃っている。
綾野剛×星野源『MIU404』(TBS系)
まず、期待しかない布陣のTBS金曜22時『MIU404』。『コウノドリ』(TBS系)では穏やかなサクラ先生と四宮先生だった綾野剛と星野源の2人が一転、ワイルドかつキュートな魅力を炸裂させていることが予告を見るだけでわかる。
ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の脚本・野木亜紀子×演出・塚原あゆ子という、ドラマ製作スタッフにおける“最強女性バディ”に、プロデュースが新井順子。法医解剖医というあまり知られていない職業をテーマに、共感度の高い完璧なドラマを作り上げ、多くの視聴者の心を掴んだ『アンナチュラル』同様、今回扱うのは、刑事ドラマの中でも一般的にも耳なじみのない「機動捜査隊」という警視庁の部署だ。
迅速に初動捜査を行い、24時間でできうる限りの対処をし、専門の課に引き継ぐ部署のことを言う。部署の性質それ自体が持つ「24時間」というドラマ的なタイムリミットの存在が、このドラマの疾走感を裏付けるだけでなく、題材選定の成功を物語っており、このドラマの面白さを保証していると言えるだろう。最近の日本のドラマではあまり見ることがなかった「カーチェイスのある刑事ドラマ」というのも、目に鮮やかである。
玉木宏×高橋一生『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)
自身も破天荒な人生を生きた「最後の無頼派作家」故・白川道原作の『竜の道』のドラマ化。復讐のため、顔を変えて裏社会を生きる竜一と、キャリア官僚の竜ニという双子の兄弟を演じるのは、玉木宏と高橋一生。ヤクザ風の開襟シャツから色気を零れさせる玉木宏も、哀しみを原動力にしたエネルギーを内に秘めた男がよく似合う高橋一生も期待大だ。関西テレビ制作の火曜21時枠らしく、硬派で質の高い作品になるだろう。また、復讐相手である一族に、斉藤由貴と松本まりかという屈指の怪演女優がいることも忘れてはならないポイントである。