『幸福路のチー』監督が語る、日本アニメーションから得たもの 「今敏監督の影響は大きい」

『幸福路のチー』監督が語る、日本アニメの影響

「監督は大きなビジョンを持たなければ」

ーー監督ご自身も実写の短編からキャリアをスタートさせて、次回作も実写作品ですが、実写とアニメーションをそれぞれ撮る上で、心がけや意識の違いなど感じましたか?

ソン・シンイン:違いはないと思っています。アニメーションであれ実写であれ、監督としてなすべきことは、自分が一体どういうものを目指しているのか、何を伝えたいのかを一緒に働いてくれるスタッフの人たちに伝えることができるかどうかです。アニメーションの方が難しいと思っているのは、実写映画のように現場の即興で生まれるものがないという点です。アニメに即興はないので、最初から計画的に作り上げていかなければいけず、やり直しがきかない。だから監督は大きなビジョンをしっかりと持たなければなりません。

ーーアニメーションを撮ったことで監督としての変化は感じますか?

ソン・シンイン:今回アニメーションを撮った経験は、いろんなところで役に立つと思います。例えば、各ショットの組み立て方や編集のリズムは実写を撮るにしても役立つと思います。私が今回もっとも変化を感じたのは、この映画のおかげいろんな国に連れて行ってもらえたことです。そこで様々な文化を持つ人々と出会って、刺激を受けました。これからの作品も台湾の観客だけに向けて作るのではなく、世界中の人に見せたい。そのために何をすればいいかという新たなモチベーションが湧いてきました。

(取材・文=安田周平)

■公開情報
『幸福路のチー』
11月29日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開
監督:ソン・シンイン
声の出演:グイ・ルンメイ、チャン・ボージョン、リャオ・フェイジェン、ウェイ・ダーション
主題歌:「幸福路上/On Happiness Road」ジョリン・ツァイ
配給:クレストインターナショナル 
台湾/111分/2017年/中国語/協⼒:台北駐日経済⽂化代表処 台湾⽂化センター/提供:⽵書房、フロンティアワークス
(c) Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://onhappinessroad.net/

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