『シャーロック』後半戦、“モリアーティ”の姿再び! 吉川愛、堀田真由らゲストにも要注目

『シャーロック』“モリアーティ”再び!

 アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの中でわずかながら言及されるも詳細が記されていない “語られざる事件”を軸にして、新たな形で物語を展開しているフジテレビ系列月9ドラマ『シャーロック』。ドラマ放送前に告知されていた5つの事件をこれまでのエピソードで出し切ったものの、11日放送の第6話でも、まだ多数ある“語られざる事件”のひとつが描かれた。それと同時に、ドラマの後半戦の展開を左右するに違いない、“あの方”の存在が再び浮き彫りになるエピソードとなった。

 高校生の高遠綾香(吉川愛)は、誕生日の夜に突然誰かを殺した記憶を語り出す。その言葉に従って捜査した警察は、死後20年以上が経過した遺体を発見する。綾香が告白した殺人は、彼女の前世の記憶なのか、それとも誰かが記憶を操作したものなのか。江藤(佐々木蔵之介)の依頼で捜査に乗り出した獅子雄(ディーン・フジオカ)と若宮(岩田剛典)は、綾香が1年前に襲われそうになったことのPTSDによって不眠症になり、カウンセリングを受けていることを知る。そして彼女の治療を担当する宇井宗司(和田正人)に会いに行くことに。

 今回のエピソードの原作となった“語られざる事件”は『シャーロック・ホームズの帰還』に収録されている『ブラック・ピーター』に登場する「悪名高きカナリア調教師ウィルソン」の事件であると考えて間違いないだろう。宇井が飼っているカナリアの性質(一酸化炭素などの有毒ガスを察知して鳴かなくなるということから、炭鉱などでカナリアが使われてきたことが劇中でも語られている)が、事件を解くための大きなカギのひとつとして用いられるあたり、先週のエピソードに登場したグッピーとも通じる部分を感じさせる。

 その“炭鉱のカナリア”同様、今回目を引いたのは、興味深い引用がいくつも登場していた点だ。序盤で流暢な中国語とともに起き上がった獅子雄が語る、「中国には前世の持ったものたちの村がある」こと。これは何年か前に大きな話題となった“生まれ変わりの村”こと坪陽郷のことで、前世が豚だったという少年もよく知られた話だ。その村について森田健がまとめたノンフィクションを原作に、日本を舞台に置き換えた映画も数年前に作られている。また他にも、不眠症の治療のために作られたバッハの「ゴルトベルク変奏曲」であったり、第二次大戦中に日本で戦死した兵士の記憶を持った少年ジェームス・レイニンガーの話など、物語の本筋と直接的な関わりはなくとも、視聴者の知識を広げてくれる役割を果たしてくれる。これもこのドラマの楽しみ方のひとつであろう。

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