桜田通×笠松将が語り合う、映画『ラ』で培った役者としての姿勢「もっといいものを作るために」

桜田通×笠松将が語り合う、映画『ラ』で培った役者としての姿勢「もっといいものを作るために」

 桜田通主演映画『ラ』のBlu-ray&DVDが11月20日に発売される。本作は、世界中の赤ん坊の産声が“ラ”の音であることに着想を得て、“始まり”や“生まれ変わり”をテーマに作られた青春人間ドラマ。単館系作品でありながら、新宿武蔵野館ではロングラン上映を果たし、多くの観客の心を掴んだ。

 夢を追いかけ続け、くすぶった生活を送る元バンドマンの青年・慎平(桜田通)、慎平を過剰なほどに愛する彼女・ゆかり(福田麻由子)、慎平の元バンドメンバーで元親友の黒やん(笠松将)、それぞれが悩みや不安、葛藤を乗り越え新しい一歩を踏み出していく。

 慎平を演じた桜田、黒やんを演じた笠松は、本作を通して何を得たのか。2人が「『ラ』を越える現場はないかもしれない」と語る現場の裏側では何があったのか。映画・ドラマに活躍を続ける2人の俳優としての思いまで話は及んだ。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

知られざる桜田通の“男気”

ーー本作は慎平と黒やんの再会から物語が動き出していきます。桜田さんと笠松さんも本日の取材が久々の再会なようで。

桜田通(以下、桜田):そうですね。映画公開後、宣伝など以外で一度会っていますが、かなり久しぶりです。

笠松将(以下、笠松):今日の取材を楽しみにしていました。作品を撮っている間は通くんとずっと一緒にいたんです。楽しんでいることも、怒っていることも、悩んでいることも、そのとき詰まった空間の中で一緒に体験して乗り越えた。でも、撮影が終わった後は、ずっと一緒にいたわけではなくて、お互いの場所に戻っていった。で、またこうやって会うと、照れくささもありつつ……。いい意味での昔の仲間というか。高橋朋広監督、関根大介プロデューサー、福田(麻由子)さんも含めて、他の作品にはない、『ラ』という映画だからこその絆を勝手に感じています。

桜田:僕は自分からそんなに連絡するタイプではないんですが、笠松くんもそうだと思うんです。だからか決して仲が悪いとかではないんですが、なかなか会う機会がなかったですね。

笠松:僕の場合は、通くんに「嫌われたくない」という思いもあるからなかなか連絡しづらくて……。

桜田:嘘だー(笑)。

笠松:好き嫌いではなくて、連絡がしやすい人、しにくい人っているじゃないですか。通くんは頭もキレるので、「何か見透かされてしまうんじゃないか……」と勝手に考えてしまうところもあって。

桜田:買いかぶり過ぎだよ(笑)。

ーー『ラ』では笠松さんが桜田さんを翻弄していく役柄なだけに、真逆な感じですね(笑)。

笠松:本当そうです(笑)。

桜田:普段2人だけだったら言えないことも、こうして取材の場だから言える女々しい感じになってるかもしれないのですが(笑)、実は僕も笠松くんに嫌われているかも、と思っていたんです。僕の笠松くんの印象は「一匹狼」というか、誰にも媚びずに常に地で突き進んでいる、まさにジャックナイフのような人。

笠松:いやいや(笑)。

桜田:だからこんな衣装(白いファー)を着ている人間が一番嫌いなタイプなんじゃないかと。

一同:(笑)

桜田:先日、『ラ』にも出演している福田さんと、共通の知り合いでもある、俳優の藤原季節くんと一緒にご飯を食べに行きました。そのとき、「笠松くんは大人だし、現場では褒めてくれているんだけど、本心は違うんじゃないか。だから気軽に連絡もしづらいんだよね」ということを2人に話したんです。そしたら2人が「笠松くんは本当に通くんのことを褒めていたよ」と言ってくれて。そうなのかと思いつつ、ドキドキしながら今日の取材に臨みました(笑)。

笠松:その食事会に誘ってほしかった(笑)。通くんへの“嫉妬”はありますよ。でも、それは「妬みや僻み」ではなく、「負けないぞ」というものです。通くんとは本作の前にも何度か共演しているんです。些細な役だったのですが、それでも僕のことを覚えてくれていたんです。だから『ラ』を一緒に作りあげれることは本当にうれしかったんです。

ーー『ラ』で真正面から共演する前から信頼関係は築けていたと。

笠松:『ラ』はお互いのためにも絶対にいい作品にしたいと思って臨みましたし、撮影序盤から一筋縄ではいなかない、一言でいうと「過酷な現場」だったんです。劇中、慎平と黒やんがぶつかり合うシーンで、2人が移動する途中に水たまりがあります。この水たまりはスタッフさんたちによる手作りだったのですが、冬の深夜帯の撮影だったこともあり準備から本番までの間に凍ってしまっていたんです。でも、それを知らずに撮影を進めていたら僕が氷に滑って怪我をしそうになったんです。僕は怪我をする覚悟だったのですが、通くんが監督とスタッフに「それはできないです」とはっきりと意見を言ってくれたんです。

桜田:そんなこともあったね。

笠松:その日の夜、一緒にお風呂に入っていたのですが、通くんが怒っている雰囲気だったんです。僕はなんとか雰囲気を良くしたいと思って、「今日のは気にしてないからみんなで楽しくやっていこう」と言ったんです。それに対して通くんは「笠松くんといい作品を作りたいからこそ、言わないといけないことはスタッフさんたちにも言う」と。

桜田:そんな格好いいこと言ってた?(笑)

笠松:言ってたんだよ(笑)。一見、クールに見えていた通くんだったんですが、いいものを作りたいという思いにここまで貪欲な男だったんだなと。その日から、改めて通くんには芝居でとことんぶつかっていけるという思いになりました。

ーーこれまであまり知られることのなかった桜田さんの一面ですね。

笠松:そうですね。すごい男気があるんです。

桜田:僕自身にとっては撮影で初めて訪れた場所でも、慎平としては何回も訪れたことのある熟知した場所だと思うんです。演技をする上で、その意識があるかないかではリアリティにも大きな違いが出てきます。だからこそ、事前にどういう状態になっているのか、把握して撮影には臨みました。ただ、そこに落とし穴がありました。「地面が凍っていない」と思って撮影に入っているので、凍った地面に接したとき自然な反応がすぐにできなかったんです。想定していた動きではなくても、慎平として黒やんとして、「凍ってて痛いよ」とすればよかった。でも、凍っていることをばれない芝居をとっさに僕たちはしてしまった。そのときに、慎平ではなく「自分」として反応してしまったことに、怒っていた部分があったんだと思います。今振り返ってみると、笠松くんが怪我しそうになってしまったことも含めて、チーム全員での意思統一ができていなかったこともあり、意見を言ったのではないかと。

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