若手世代きっての実力派! 中川大志、“いくえみ男子”を体現する芝居力

“いくえみ男子”を体現する中川大志

 また中川の繊細な演技が光るのは、想いを寄せる兄の元婚約者・眞於(桜井ユキ)を前にしたときのシーン。練習を重ねるうちに距離が縮まったのか、也映子と幸恵に時折穏やかな表情を見せるようになった理人。しかし眞於を前にした途端、その表情は固くなる。15歳で出会ったときから眞於を一途に想い続ける理人が、眞於への想いと複雑な関係に悩む姿は、見ていて心が苦しくなる。理人は発表会を終えた後、いてもたってもいられず「好きです」と眞於に告白した。タイミングを見計らうこともなく告白した姿は清々しく、理人の目は眞於への想いでいっぱいだった。

『G線上のあなたと私』第3話より(c)TBS

 フラれ、やけ酒するシーンでは、20歳になったばかりの理人が幼い部分を見せる。酔っ払った理人はどこか幼く、その純粋さが、也映子の心をかき乱していく。ドラマ終盤、酔っ払った理人は也映子に“壁ドン”。困惑する也映子の目をじっと見つめると「だって今日可愛いから」と言い放つ。普段の理人からは考えられない姿だったが、酔っている状態でも、理人らしいまっすぐな言動がブレない姿だったとも言えよう。

 SNS上では、居酒屋のシーンと“壁ドン"に関して「かわいい」「悶え死にそう」と大きな反響が寄せられていた。「こんな顔もできるのか」と中川の演技に感心する声もあがっていた。

『G線上のあなたと私』第3話より(c)TBS

 中川は『なつぞら』出演時にインタビューで「見る人の力をなめてはいけない、何かを作って届ける側の人間として真剣勝負で向き合っていかなくはならない」と答えていた。『G線上のあなたと私』の取材時(参考:波瑠×中川大志『G線上のあなたと私』対談)には、いくえみ作品から「視聴者のみなさんに想像してもらう余白」を感じ、「原作を意識して計算して……というよりは、素直に演じていきたいなと思っています」と答えている。一つの作品を作り上げる制作側の思いと視聴者の思いを両方感じながら真摯に演じているからこそ、作品ごとに全く違う形の“中川大志”が生まれているのかもしれない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
火曜ドラマ『G線上のあなたと私』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:波瑠、中川大志、松下由樹、桜井ユキ、鈴木伸之、滝沢カレンほか
原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』コミックス全4巻(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:安達奈緒子
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gsenjou/

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