『G線上のあなたと私』3人の唯一無二の関係性に変化が 進むためにもがく波瑠から学ぶこと

『G線上のあなたと私』もがく波瑠から学ぶこと

「そこまで入れ込めるモノが見つからないって、ほんとはいちばんキツイよ。でも生きてかなきゃなんないじゃん」

「そんなの、思ってても口に出さずに淡々と生きてますよ。わかってますよたいていの人は。入れ込めるモノなんか見つからないって。いいんですよ別にそれで!」

 『G線上のあなたと私』(TBS系)第4話。楽しければそれでいい、何者になるわけでもないと割り切って始めたはずの大人のバイオリン教室で出会った也映子(波瑠)と理人(中川大志)、そして幸恵(松下由樹)は、いつしか他の誰にも言えない本音をぶちまける仲になっていた。

 仕事関係でも、プライベートの友人でも、ましてや家族でもない、ただの習い事仲間。ふだんの生活を続けていたら、出会うことのなかった年齢も性別も環境も異なる相手だからこそ、カッコ悪い自分も見せられる。そんな唯一無二の関係性に。

 也映子と理人、そして幸恵の青春をリバイバルしたかのような心地良い空間は、日常という大きな波に飲み込まれ、再び泡沫のように消えようとしていた。なんとか時間を作って教室に通っていた主婦の幸恵は、義母の介護という生活の変化によって、その余裕を失い、バイオリンに触れることもできない日々を過ごし始める。

 その切羽詰まった様子でさえ、今の也映子にとっては“求められている“場所があるように見えて羨ましい。また、講師の眞於(桜井ユキ)に告白してこっぴどくフラれたけれど、それでも諦めきれない恋をしている理人さえも眩しく見えるのだった。それくらい、也映子の今は自分を突き動かす“コレ“というものが見つからないのだ。

 入れ込めるものがなく、ただ生きていくだけが人生なのか。他の人が持っているように見える何かが、自分にはずっと見つからないのではないか。大人になると、何年も、何十年も、同じような日常を繰り返していくうちに、そんな虚無感に襲われることがある。一方で、大人になったからこそ、自分をよく見せたいという見栄や、弱いところを見せるのが迷惑になるのではという遠慮も出てくる。心の中がささくれるような虚無感を、ヒリヒリと感じながらも口には出しても仕方ないと我慢し、淡々と生きているのだと、逆に年下の理人に諭されてしまう也映子。

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