『HiGH&LOW』は「もっとEXILEになれる」場所!? 山田裕貴、志尊淳、川村壱馬らの情熱と工夫

『ハイロー』は「EXILEになれる」場所?

 そして山田裕貴がやったように、本作でも非LDHの俳優たちがこぞって「もっとEXILEになった方がいい」の精神で爪痕を残しにきている。鳳仙の頭を演じる志尊淳や、反則と言っていいビジュアルの塩野瑛久、鬼邪高で一番の狂戦士(それでいてアダ名ギャグで笑ってしまうのがズルい)っぷりを見せる佐藤流司など、どの役者も非常に魅力的である。また今回は前田公輝演じる轟が、とにかくカッコよくて……。個人でスタントマンを呼んで特訓した(!)という冒頭の超絶アクションから、物語を締める一幕での表情まで、完璧だったと言っていいだろう。

 一方で、LDH側も黙ってはいない。何せ彼らはEXILEだ。「EXILEになる」ことで後れを取るわけにはいかない。本作でLDHの看板を背負って立つのが主演の川村壱馬である。彼は『HiGH&LOW』にいながら、今回のコラボ先である高橋ヒロシ漫画の主人公を完璧に演じている。それでいてアクションは今までのLDH勢(ガンちゃんさん演じるコブラや、NAOTOさん演じるジェシーなど)を彷彿させるアクロバット系で、ちゃんと『HiGH&LOW』のキャラでもある。現場で積極的に意見を出したとも聞くし、映画2作目でここまで仕上げてきたのは驚異的だ。まだまだ発展途上な部分はあるとはいえ、今後の伸びしろを大いに感じさせるキャラクターを作り上げた。また、GENERATIONS from EXILE TRIBEの中務裕太と小森隼が演じるオロチ兄弟もかなり良い。今までの『HiGH&LOW』にはいなかったタイプの線の太いヤンキー・スタイルは、問答無用のカッコよさがある。

 このように、『HiGH&LOW』というのは「もっとEXILEになれる」場所だ。俳優や監督、スタッフがそれぞれ工夫と情熱を注いでるのが目に見えて分かる。もちろん失敗している部分もあるが、それでも頑張っているのが伝わってくるのだ。一言で言えば、自由がある。アドリブ厳禁で、1個人によって完璧にコントロールされた真っすぐな映画もいい。しかし私は、作り手たちが好き勝手に頑張った結果、曲がってしまった映画も大好きだ。ものを作る人間が好き勝手に切磋琢磨する場所として、『HiGH&LOW』は無限に続いてほしい。本作『HiGH&LOW THE WORST』を観て、そんな想いがさらに強くなった。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

※高橋ヒロシの「高」、高野光希の「高」はハシゴダカが正式表記。

■公開情報
『HiGH&LOW THE WORST』
全国公開中
企画プロデュース:EXILE HIRO
監督:久保茂昭
アクション監督:大内貴仁
脚本:高橋ヒロシ/平沼紀久、増本庄一郎、渡辺啓
出演:
【鬼邪高校・全日制】川村壱馬、吉野北人、福山康平、鈴木昂秀、龍、佐藤流司、うえきやサトシ、神尾楓珠、中島健、前田公輝
【鬼邪高校・定時制】山田裕貴、鈴木貴之、一ノ瀬ワタル、青木健、清原翔、陳内将
【鳳仙学園】志尊淳、塩野瑛久、葵揚、小柳心、荒井敦史、坂口涼太郎
【希望ヶ丘団地 幼なじみ】白洲迅、中務裕太、小森隼、富田望生、矢野聖人
企画制作:HI-AX
配給  松竹
製作:『HiGH&LOW』製作委員会
(c)2019 高橋ヒロシ(秋田書店) /「HiGH&LOW」製作委員会
公式サイト:https://high-low.jp/movies/theworst/

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