ラグビーW杯にボールを繋いだ『ノーサイド・ゲーム』 廣瀬俊朗の選手時代を彷彿とさせた名演

『ノーサイド・ゲーム』廣瀬俊朗の名演

 『ノーサイド・ゲーム』ではエースとしてチームを引っ張った浜畑だが、廣瀬は所属していた東芝と日本代表チーム(2012、13年)でキャプテンを務めている。向氏は当時の廣瀬の姿を「チームに影響を与えるリーダーでした」と語る。

「5年間ほど日本代表から離れていた時に、2012年に新しくヘッドコーチになったエディー・ジョーンズさんが、廣瀬選手を引き上げました。ジョーンズ監督はそれまで国内リーグの指導をしており、ライバルチームのキャプテンだった廣瀬さんのキャプテンシーを好意的に見て、指名したんです。日本代表キャプテンの時には、色んなチームから様々な国の出身の選手が集まってくる中で、チームが一つになるために取り組んでいました。例えば、試合の前日にみんなで輪になってスパイクを磨く時間を作ったり、自分以外にリーダーを決めてグラウンド外の募金活動を始めたり知恵を絞って率先して自分から動くキャプテンでした。

 廣瀬選手は、体はそんなに大きいほうではないですが、ぶつかったら強く簡単に倒れない方でした。グラウンドに立つ1人の選手でありながらグラウンド全体を俯瞰して見ているような視点を持ってプレーをしていて、ほかの14人が心地よくプレーできるためのポジショニングと声かけを徹底してやられていた選手でした」

 『ノーサイド・ゲーム』はドラマファンにラグビーの魅力を伝えたドラマでもあった。では、本作をラグビーファンが見るとどうだったのか? 向氏に、本作についての感想を聞いた。

「コンタクト(アタック、タックル)のシーンなどを本物の選手がやっているから、やはりリアリティがありましたし、迫力を感じましたね。本物仕様のラグビーのドラマは、『スクール☆ウォーズ』(TBS系、1984年〜)以来ほとんどなかったと思うので、日曜劇場という大きな枠で3カ月に渡って放送されたのはラグビーを知ったり楽しむきっかけとして、すごく効果的だったと思います。この作品でラグビーを知った人は増えたと思うので、僕も含めて感謝している人は多いと思います」

 ドラマの放送は終わってしまったが、ラグビーワールドカップ2019日本大会では、スタジアムという大きな舞台で、選手たちによるリアルな物語が繰り広げられている。『ノーサイド・ゲーム』は日本ラグビーを盛り上げる要因となったスポーツドラマの一作として、記録に残る作品になったに違いない。

(取材・文=大和田茉椰)

■リリース情報
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』
2020年1月10日(金)Blu-ray&DVD発売
Blu-ray BOX:26,400円(税別)<本編3枚+特典1枚>
DVD-BOX:20,900円(税別)<本編5枚+特典1枚>

特典映像(予定):メイキング、SPOT集など
封入特典(予定)オリジナルブックレット

出演:大泉洋、松たか子、高橋光臣、笹本玲奈、天野義久、廣瀬俊朗、齊藤祐也、林家たま平、コージ(ブリリアン)、佳久創、村田琳、笠原ゴーフォワード、大谷亮平、中村芝翫、上川隆也
原作:池井戸潤『ノーサイド』
脚本:丑尾健太郎ほか
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳ほか
製作著作:TBS
発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント株式会社
(c)池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/noside_game_tbs/
Blu-ray&DVD特設サイト:https://www.amuse-s-e.co.jp/title/noside_game/

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