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『宮本から君へ』インタビュー

池松壮亮×蒼井優×新井英樹『宮本から君へ』鼎談 二十数年越しに「救われた」と語る、決闘後の裏側

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 漫画家・新井英樹が、何事にもがむしゃらに立ち向かう熱血営業マン・宮本浩を世に出してから29年、ドラマの放送を経て、真利子哲也監督が「もう一歩、人間の難しい局面に踏み込まなければならない」という決意を持って映画化した作品『宮本から君へ』が公開された。

 本作で恋人となり、ある事件をきっかけに共に「愛の試練」に挑むのが、宮本を演じる池松壮亮と中野靖子演じる蒼井優。今回、池松、蒼井に原作者の新井を交えて、本作のラストシーンの裏側でそれぞれが抱いていた思いを聞いた。

池松「どんどん『宮本』に感化されていく」


ーー今日は池松さん、蒼井さん、新井先生の3名でのインタビューよろしくお願い致します。

池松壮亮(以下、池松):さぁ、新井さんが来たら大変ですよ(笑)。

新井英樹(以下、新井):何が大変だよ。いじりばっかだよね。

池松:いやいやいや(笑)。

ーーエネルギーに溢れた作品でしたが、実際の現場で感じた熱量はどうでしたか。

池松:20代から30、40代くらいの若いチームで作っていたんですけど、パワーがありましたね。キャストもスタッフも、どんどん「宮本」に感化されていくんですよ。誰かが疲れると誰かが“宮本化”して、その人が疲れるとまた誰かが“宮本化”して。

蒼井優(以下、蒼井):いい迷惑だね(笑)。

池松:本当にいい迷惑なんですけど、結局はぞれぞれ「宮本」の存在に引っ張られて、みんなの内なる何かが暴れだすみたいな現場でした。

池松壮亮

ーー新井さんはどうですか。

池松:俳優として?

新井:えっ、俳優として?(笑)。

ーー宮本浩の父親役で出演されていましたね。俳優目線でみた現場はどうでしたか?

新井:俳優としてはね……いじめられました。子どもの歳くらいの2人にここまでいじられるのかって(笑)。

池松:そんなことないですよ。

新井:こっちは天下の池松壮亮と蒼井優に挟まれて一生懸命芝居をしようとしているのに、本番のスタート直前まで、雑談を振ってくるんですよ。

池松:「新井さんって本読みますか?」って。

新井:今、頭の中で一生懸命セリフを整理しているのに「どう思いますか?」って両サイドから話を振られて(笑)。これが芝居の空気なんだろうなと思ってそれに合わせるようにしていきましたけどね。原作者の立場で言ってしまうと、基本は邪魔になっちゃいけないと思っていたので、一番ネックになるようなシーンは怖くて見に行けなかったんです。例えば、靖子がひどい目に遭うシーンも見に行けないし、宮本と真淵拓馬(一ノ瀬ワタル)の階段の決闘シーンはもう恐ろしくて見に行けませんでした。次の日、リアルタイム検索で「池松壮亮見た」と探して、池松くんが生きてるのを確認しました(笑)。

左から池松壮亮、新井英樹、蒼井優

池松:いや~新井さん結構、大変なところで来てましたよ。

新井:本当に?

池松:公園のシーンとか、ここで来ないで! って思いましたもん。

蒼井:事件の翌朝の飛鳥山での2人のシーン。

新井:俺もね、行って後悔した。

蒼井:方向性あってるのかな? って原作者の方がいたらすっごい気にしちゃうよね。

池松:どうしたってやっぱ気になる。

新井:逆、逆! 俺は、一緒に演技しなきゃいけないシーンがあるから、ここは慣れないと、と思って見に行っていました。そしたら2人が、リハーサルの段階でボロボロ泣いていたりしていて、うわぁ……すげぇテンション……! って思って。蒼井さんが、カットがかかって、その姿のまま、パッと目の前にあったラムネを取ってガって立ち上がった瞬間に、「あ、ラムネは持たないか」って軽く言ったのを見て、一緒にいた女性プロデューサーの人と「怖。こっわ」って言い合ってました。

池松:女優・蒼井優の素顔を見たと。

新井:さっきまであんなに泣いて叫んでた人が、一瞬で素に戻っていて、怖くなりましたね。この後に所沢で一緒の撮影が待っているのに、余計自分の心の中の「蒼井優」像を、より巨大化させてしまって、来なきゃよかったと心底思いました。

蒼井優

ーー蒼井さんはどうでしたか。

蒼井:私は一番、言葉を大事にしようと考えてやっていました。これだけの新井さんが靖子に与えた言葉の羅列だから、この言葉削れない、この言葉変えられない、と一語一句正確にやるのを目指して。結果できなかったところもあるんですけど。

池松:中盤くらいに、もうOKが出てるんですけど、蒼井さんが「語尾変えちゃった。みんな撤収し始めているどうしよう」って言ってきたんですけど。「でも俺、結構変えてますよ」って言ったのは覚えています。

蒼井:そうやって、なるべく言葉を大事にしたいなと思っていたのに、新井さんが来たら、どんどん自分の台詞変えていくんですよ(笑)。書いた本人が? って思うことがありました(笑)。

新井:そうか、一番変えてるって言われたんだ(笑)。

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