『あなたの番です』最終回目前企画:奈緒の黒幕説を検証 尾野幹葉の不審すぎる挙動の数々を考える

『あな番』最終回企画:奈緒の黒幕説

 他にも彼女にはいくつもの謎が残されている。元管理人の床島(竹中直人)からもらった表札を玄関に掛け続けているのは何故か(赤池幸子が見ていた忘年会動画で床島と寄り添う姿も映されていた)、第2話で寿司屋の広告を見ながらクレームの電話を入れているシーンの意味(重要なのは赤いペンの方なのかもしれない)、菜奈の死因である塩化カリウムについての知識を持っている理由や、内山(大内田悠平)の告白動画が尾野の部屋で撮られたかもしれないという疑惑。そして第19話で新たに浮上した、彼女が南(田中哲司)や沙和、田宮(生瀬勝久)、内山らと同じように高知県に関わりがあること。

 第19話の衝撃的なクライマックスで翔太を後ろから襲った二階堂は、ホテルの部屋にやってきた尾野に「ありがとう」とお礼を言う。翔太が扉を開けた時の尾野の表情から推測するに、その部屋に翔太がいるとは考えていなかった一方で、二階堂がいるということはわかっていたように見える。つまりは翔太と二階堂が送りつけた挑戦状とは別に、二階堂が直々に尾野を呼び出していたということだろう。沙和をはじめ、他に挑戦状をもらった面々が部屋に来なかったことも含め、これは最終回の終盤ギリギリまで犯人の正体がわからないということも充分考えられる。

 さて、この尾野を演じている奈緒といえば、ちょうど1年ほど前に放送されていたNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』で、永野芽郁演じるヒロインの地元の親友役を演じて注目を集めた女優だ。その後『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)で少し毒をにじませるような役柄を演じたとはいえ、本作での大胆な変貌ぶりには目を見張るものがある。先日放送された『しゃべくり007』(日本テレビ系)に沙和役の西野とシンイー役の金澤美穂と3人で出演した際には、特技として“女の喧嘩”を挙げ、その場で『テラスハウス』(Netflix)のワンシーンを再現。それを見ると、本作のように毒の強い役柄がいかに彼女にハマっているかが容易にわかる。

 本作でもおっとりした台詞回しと柔らかな表情から一瞬で冷ややかな表情へと切り替わっ
たり、感情を爆発させたり、はたまた柔らかい表情のままで台詞や行動によって毒を吐き出していく。ベースとなる部分からのギャップがあまりにも大きいことによって、謎めいた恐怖感を煽り、その存在感を高めていくわけだ。今後『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)や初主演映画『ハルカの陶』、ヒロインを演じる『僕の好きな女の子』に『みをつくし料理帖』など出演作が目白押しの奈緒が、それらの作品でどういった表情を見せてくれるのか純粋に楽しみであると同時に、否が応でも本作のような怪演を期待せずにはいられない。 

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
日曜ドラマ『あなたの番です-反撃編-』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送中
出演:原田知世、田中圭、西野七瀬、浅香航大、奈緒、山田真歩、三倉佳奈、大友花恋、金澤美穂、中尾暢樹、小池亮介、井阪郁巳、袴田吉彦、片桐仁、真飛聖、和田聰宏、野間口徹、林泰文、片岡礼子、皆川猿時、徳井優、田中要次、長野里美、阪田マサノブ、大方斐紗子、峯村リエ 、竹中直人、安藤政信、木村多江、生瀬勝久、横浜流星、田中哲司
企画・原案:秋元康
脚本:福原充則
演出:佐久間紀佳ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則
制作協力 :トータルメディアコミュニケーション
製作著作 :日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anaban/

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