渡辺麻友と広瀬すずの苦悩 『なつぞら』女性の出産と働き方がテーマに
そうして一ヶ月後、なつもまた医者から妊娠を告げられた。妊娠がわかった時こそ嬉しかったというなつだが、坂場への報告の際は笑顔がなく浮かない表情だ。やはり、仕事を辞めることを気にしていた。しかし坂場は妊娠を心から喜び、出産を望む。そしてなつに「仕事のことは産んでから考えればいい」と話す。坂場は、自身が家で仕事をしていることもあり、なつが育児に困ればいつでもサポートすると申し出た。そしてなつに「君がその道を作るんだよ」と女性の職場復帰への“開拓”を提案するのであった。なつはこの言葉を受け、ようやく子を産むことを喜ぶことができた。
妊娠がわかったとき、ひとりで喜び、産むことを勧めた坂場は、思い悩むなつを思いやっていないようで少々デリカシーのなさを感じた。しかし坂場は、なつが仕事を辞めないようにサポートすることを伝える。そしてなつの開拓精神に火をつけた。結果的にはなつの気持ちを救ったのだ。
出産、育児にまつわる就労問題は、現代社会でも根強い。なつのように道を切り開いてきた人がいるからこそ、働きながら出産する女性のための法整備も徐々に整いつつある。過去の開拓者の労を多とする回となった。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、中川大志、染谷将太、川島明、渡辺麻友、橋本さとし、古屋隆太、田村健太郎ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/