“世界を肯定する力”をくれる京都アニメーション その卓越した技術が伝えてきたもの

京都アニメーションの功績を振り返る

京都アニメーションが業界に果たした役割 

 京都アニメーションは、80年代に仕上げの会社として創業し、その丁寧な仕事ぶりで業界で高い評価を勝ち得た。2000年代から元請けとしてTVアニメ制作をするようにもなり、数多くの作品を手がけて大きく躍進したが、当時から京都アニメーションの仕事ぶりはアニメファンにも、業界人にも高く評価されていた。

 杉井ギザブロー氏は、2005年にアニメージュ誌に寄稿した、「京都アニメーション作品はなぜ高品質なのか? アニメ界の巨匠が語る」というコラムで、京都アニメーションの仕事ぶりの素晴らしさを伝えている。京都アニメーションの作るキャラの芝居がいかに素晴らしいかを的確に示した文章であり、またいかに業界においてその質の高い仕事が評価されているのかがわかるだろう。

 近年、技術の進歩も手伝ってTVアニメにおいても映像面での質は向上しているが、京都アニメーションはその先鞭をつけた会社と言えるだろうし、今もその先端を走るトップランナーである。また、製作スタジオ自ら製作委員会に参加し、自ら原作を創出するために文庫レーベル「KAエスマ文庫」を作り、自らアニメ化していくというビジネスモデルを構築。アニメ製作のほとんどの工程を自社でまかない、プロダクションの運営という面でも新しい試みを積み重ね、不安定な職業であるアニメーターの生活を保証する仕組みを真摯に考えていきた会社でもある。

 また、創業者が女性であることも含めて、女性が活躍しやすい環境を整え、多くの女性スタッフを輩出してもいる。元々、近所の主婦を集めて起業した会社であり、福利厚生の充実なども含めて、人を大事にする姿勢そのものも、京都アニメーションが高く評価される大きな理由だ。

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